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県政

こんにちは!新潟県議会議員小山芳元です。ホームページは都合により更新できなくなったため、ブログ開設で情報発信します。詳細なプロフィールや政治信条などは、ホームページをごらん下さい。
2020/02/21(金)
2月17日~3月19日までの会期で2月定例会が開催されています。県の財政危機に伴う新年度予算の審議が最大の焦点です。私・小山は、2月20日に会派「未来にいがた」を代表して質問に登壇し、花角知事と論戦を展開しました。
 以下は、質問・答弁の要旨です。

1 知事の政治姿勢について
【嘘とごまかしの安倍政権をどう受け止めるか】
(小山) 安倍首相は在職日数が歴代最長となったが、内閣改造後、「桜を見る会」に象徴される政治の私物化や自民党現職国会議員が逮捕されたIRカジノ疑惑など、民主主義の根幹を崩壊させる不祥事が続発している。
 こうした数々の不祥事に対し、首相自ら率先して疑惑の解明を図ろうとする姿勢がみじんも見られず、逃げ切りを意図した従来の説明の繰り返しに終始するなど、国民意識と大きく乖離したおごりの政治について、知事はどのように受け止めているか見解を伺う。
小山E

(知事) まず初めに、国政の受け止めについてでありますが、国政も県政も、権力を預かる者は謙虚な姿勢で国民、県民の信頼を得ていかなければならないものと認識しております。国政にあっては、国民の信頼を得るべく、しっかりと対応することが必要と考えております。

【新型コロナウイルス問題】
(小山) 新型コロナウイルスの感染は、中国に次いで日本が多くなっていることから、水際対策はもとより感染拡大のワーストパターンを想定した万全な対応が求められているが、どう対策を図っていくのか、知事に伺う。

(知事) 次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてでありますが、国内での感染が確認された先月半ば以降、正確な情報の提供、相談窓口の設置、「帰国者・接触者外来」の設置等の医療体制の整備等を進めるとともに、危機管理監を本部長とする警戒本部を設置し対応しているところです。
 なお、県内で患者が確認された場合などには、現行の警戒本部を私が本部長となる対策本部に格上げし、全庁をあげて対応していくとともに、感染拡大の防止のため、積極的疫学調査や濃厚接触者の健康観察等の対策を徹底してまいります。
 また、万が一、県内で感染が拡大した場合を想定し、医療体制の拡大等について、医師会や医療関係者等の関係機関と協議を重ねているところであり、国と緊密に連携を図りながら、万全な対応に努めてまいります。
花角知事A

(小山) 新型コロナウイルスの感染拡大により、県内ホテルで2月13日時点で約3000人泊の予約キャンセルが出ていることや、中国における経済活動の停滞などによる県内企業への波及など、観光業を含めた県内経済への影響について、どのような試算をしているのか、また、どう対応を図っていくのか、知事に伺う。
 
(知事) 次に、新型コロナウイルスによる観光業を含めた経済面への影響についてでありますが、感染拡大の状況が日々刻々と変化する中、県内経済全体への影響を定量的に試算することは困難であります。
 個別企業や関係団体へのヒアリング等によれば、中国政府による団体旅行の停止措置に伴うキャンセルが、一部の宿泊施設に出ているところであり、中国に進出している企業や取引先がある企業については、現地工場の操業停止や仕入れ商品等の納期遅延など、事業活動に広範な影響が出ております。
 今後、事態の長期化に伴い、業績や資金繰りの悪化なども懸念されます。
 県といたしましては、「中小企業金融相談窓口」において資金相談に応じる体制を整えているところであり、引き続き、個別企業等の声をお聞きするなど県内経済の状況把握に努めるとともに、このたび国が実施する信用保証も活用するなどセーフティネット対策に万全を期してまいります。

【中速新幹線構想の取組を】
(小山) 北陸新幹線の開業後、新潟市と上越地方は利便性の向上が大きな課題となっている中、いわゆる中速新幹線構想は直江津から新潟間の所要時間を約50分短縮でき、フル規格に比べて事業費が5分の1程度とのことである。
 県は、技術的課題への対応や採算性などハードルはあるものの、中速新幹線構想も選択肢に加えながら実現可能性などについて検討を進めていくとの考えであるが、現時点ではフル規格の羽越新幹線の実現を要望している。
 羽越新幹線の整備促進は、先行きの見通しが厳しい実態にあることから、羽越新幹線の旗を一旦棚上げし、中速新幹線構想の実現に向けた取組を促進する考えはあるのか、知事に伺う。

(知事) 次に、羽越新幹線の整備促進といわゆる中速新幹線構想についてでありますが、この構想は、フル規格の新幹線に比べ、整備コストが抑制されるなどのメリットがあると聞いておりますが、その実現に向けては、技術的な課題や法令上の対応など、国レベルでの検証が必要であると考えているところです。
 このため、県といたしましては、現段階では、技術的に確立されているフル規格の羽越新幹線の実現を、引き続き関係県とともに要望していくこととしつつ、中速新幹線についても、今後の研究の動向や実現可能性の情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

【トキエアへの県の関与は】
(小山) 新潟空港を拠点とした本州日本海側初の格安航空会社「仮称:トキエア」の設立に向け、昨年12月に準備会社が立ち上がり、新潟空港活性化セミナーで構想が披露されるなど動きが加速している。
 本県で実現すれば、大きな経済効果や、地域の活性化につながることが期待できることから、実現に向け県は投資なども含め支援強化を検討すべきと考えるが、格安航空会社の設立に向け県はどのように関わっていくのか、知事に伺う。

(知事) 次に、新潟空港を拠点としたLCC設立への県の関与についてでありますが、事業会社が設立され、新たな路線が開設されれば、新潟空港の利用拡大につながることが期待されるとともに、新潟空港の活性化や拠点化の推進、さらには、議員ご指摘のとおり、地域経済の活性化にもつながる可能性があるものと考えております。
 この構想は民間主導で進められるものと認識しておりますが、県といたしましては、事業予定者のニーズや進捗状況などを把握した上で、地元経済界と連携しつつ、熟度に応じて、最大限の対応をしてまいりたいと考えております。

【水道民営化は本県にはなじまない】
(小山) 「改正水道法」で促進している「コンセッション方式」は全国の自治体に広がりつつあるが、世界各地では民間業者の劣悪な管理運営、水道料金の高騰、水質悪化などの問題から、再び公営化に戻る例が増えている。
 2018年9月定例会では、私どもが出した「水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書」に対し、自民党が民間参入による弊害から県民を守るという点で意見が一致したとして賛成し可決された経緯がある。
本県において、県民の生命と生活に欠かせない水道事業は民営化になじまないと考えるが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、水道事業のコンセッション方式についてでありますが、国は、水道事業の基盤強化のため、水道事業の広域化や官民連携を推進しており、コンセッション方式は官民連携の一形態として選択肢を増やすものとしております。
 コンセッション方式を導入するかどうかは市町村の判断でありますが、導入には住民理解の醸成など課題が多く、慎重に検討すべきものと考えております。

(小山) 新年度予算案に計上されている「水道広域化推進プラン」の策定費について、水道は基本的には市町村事業であるものの、人口減少に伴う使用量の低下や施設・設備の老朽化対策には、広域化が効果的であるため県がイニシアチブを取るものであり、このプランの策定は将来の民営化に向けたプロセスの一環ではないと受け止めるが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、水道広域化推進プランについてでありますが、議員ご指摘のとおり、人口減少等に伴うサービス需要の減少や施設等の老朽化に伴う更新需要の増大など、水道事業を取りまく経営環境が厳しさを増すなかで、広域化によるスケールメリット等について検討し、市町村と協議・調整しながら策定するものであります。
 なお、プランの策定が民営化に直結するものとは考えておらず、本県では今のところ民営化を検討している市町村はないと聞いております。

【選択的夫婦別姓は時代の趨勢でないか】
(小山) 選択的夫婦別姓については、夫婦の96%は夫の姓を名乗っていることに見られるように、女性に改姓を強いているのが現状であり、報道機関の世論調査では、選択的夫婦別姓に賛成が69%と、反対の24%を圧倒的に上回る状況にある。
 憲法は「個人の尊重」「両性の本質的平等」を定めており、本県では男女平等、男女共同参画社会の実現を重要施策の柱に掲げていることからも、自分の価値観を人に押し付けるのではなく、多様性を認める社会の実現に向け、選択的夫婦別姓の導入は時代の趨勢と考えるが、知事の選択的夫婦別姓に対する所見を伺う。

(知事) 次に、選択的夫婦別姓についてでありますが、議員ご指摘の報道機関の世論調査結果は承知しておりますが、国の世論調査によれば、制度導入に向けて民法を改めてもかまわない、とする意見が増加してきている一方で、子どもにとって好ましくない影響がある、と考える方も相当数いるものと認識しております。
 この問題は、家族のあり方などに関わる重要な事柄であり、様々な意見もあることから、国会を中心とした国政の場において十分な国民的議論がなされることが必要であると考えております。

2 予算・財政・経済問題について
【泉田元知事と話し合うべし】
(小山) 泉田元知事は、資金手当債をめぐり「県の説明は誤り」と主張し、花角知事に対し「自ら県政運営を担う責任があるという自覚を欠いている」と厳しい指摘をもしている。
こうした指摘に対し、反論も話し合いもせず、「事実は行動計画で明らかになっている」とする姿勢では、これから痛みを強いられる県民には理解が得られない。
花角知事と泉田元知事は、ともに新潟県の発展のため、新潟県を良くしたいとの思いから、知事や衆議院議員になっていることからも、新潟県を良くするためにはどうすべきかお互いに話し合い、県民の理解を得るべきでないのか、知事に伺う。

(知事) 次に、予算・財政・経済問題についてお答えします。まず、県財政に対する県民の理解についてでありますが、県民の理解を得るために重要なのは、広く県民に対して正しい情報をお示しし、その内容を分かりやすく説明していくことであると考えております。
 そのため、県の財政状況について様々な媒体を活用して説明するほか、県民説明会を開催し意見をお聞きするなど、より一層の理解が得られるよう取り組んでいるところです。
 今後も県民の皆様に分かりやすく伝わるよう情報をお示しした上で、説明してまいります。

【臨時的給与削減は遺憾・県経済への影響は】
(小山) 一般職員の給与の臨時的削減について、給料は最大2.5%の削減で職員組合と合意となった。トップによる財政運営の失敗が招いた県の財政危機で、直接責任がない職員の生活費にも影響を及ぼす結果に至ったことは極めて遺憾と考えるが、知事はどのように受け止めているか所感を伺う。
また、今回の給与削減は、過去の平山県政時における、二度と財政悪化による給与削減はしないよう最大限努力するとした職員組合との約束を反故にすることとなり、今回、花角知事も給与削減を二度としないよう知事の責任で取り組むとした姿勢を示していることからも、今度こそ本当に約束を守るとした旨の知事の決意を併せて伺う。

(知事) 次に、一般職員の給与削減についてでありますが、今回の給与の臨時的削減は、本県の厳しい財政状況を踏まえ、この難局を乗り越えるため、緊急避難的な措置として協力をお願いしたものです。
 給与削減を実施せざるを得なくなったことについては、職員の生活に与える影響を考えると大変心苦しく、職員からの協力が得られたことに感謝しております。
 このような給与削減を二度と行うことのないよう、今後とも歳出歳入改革に全力で取り組み、持続可能な財政運営を確立してまいりたいと考えております。

(小山) 中部圏社会経済研究所の試算では、当初提案の一般職員給料の3%削減で県内全体の消費額は約72億円の減少、県内総生産は約120億円の減少、県税収入も約17億円減少するとのことであり、県内経済への影響が指摘されていた。
 県は、今回の職員給与の臨時削減と、すでに実施している知事や幹部職員の削減分も合わせると、年間約47億円の削減効果があると試算しているが、一方、この給与削減による県経済への悪影響をどう試算し、県勢の発展に向けこの悪影響にどのような対策を講じていく考えか、知事に伺う。

(知事) 次に、職員給与の臨時削減による県内経済への影響についてでありますが、県内経済や県税収入は、様々な要因の影響を受けるため、職員給与の削減の影響だけを抜き出して試算することが技術的に困難であることから、影響額の試算は行っておりません。
 しかしながら、現在の厳しい財政状況を踏まえると、職員給与の臨時削減を実施しなければ、持続可能な財政運営を行うことが困難な状況であることから、職員団体に協力を求め、一般職員についても給与の臨時削減を行うこととしたものです。
 県といたしましては、当初予算編成において、国の有利な財源を活用し、事業費の確保を図るなどの工夫を行ったところであり、加えて、意欲ある企業の新事業展開やより大きな市場の取り込みなどへの挑戦を後押しすることにより、企業収益の拡大や県民所得の向上を図るなど、歳出削減による県内経済への影響が最小限となるよう、県内産業の活性化に努めてまいります。

【起債許可団体への転落が16年も続く】
(小山) 新年度予算案では、財源対策的基金の枯渇見込みは2025年度以降に先送りされたものの、実質公債費比率は2038年度に18%以下とする目標であり、2022年度から2037年度までの16年間、起債許可団体への転落のまま推移することになる。
 基金の枯渇、起債許可団体への転落を前面に出して、県民に痛みを強いることや、人件費の臨時的削減の協力を求めた以上、起債許可団体への転落の回避や、転落しても1年でも早く正常化に戻すことを目指すのが本来の行政執行の姿勢ではないのか、これで県民の理解が得られるのか懸念されるが、知事に伺う。

(知事) 次に、公債費負担適正化計画の計画期間についてでありますが、県債発行に当たり国の許可が必要となる実質公債費比率が18%を超える状態はできるだけ早く解消する必要があります。
 一方、激甚化・頻発化する自然災害から県民の安全・安心を守るための防災・減災対策を着実に進めていく必要があること、現時点での投資的経費の水準は他県と比較しても特別に高いものではないこと、また、急激な事業量の削減は県民生活に過度な影響を及ぼすおそれがあることを踏まえ、令和20年度に実質公債費比率を18%以下とすることを目標としたものです。

【実負担を減らす努力を】
(小山) 18年前の財政危機のときに、県は借金に頼らない財政運営を約束していたものの、今日までの間その約束を棚上げし、有利な財源の活用などとして国策に飛びついてきた結果が新たな実負担の増加となり、今日の財政危機につながっている事実がある。
 今後、行財政改革で県民に一層の痛みを強いなければならず、加えて、職員の臨時的給与削減の期間終了後の「リバウンド」も踏まえ、今から一刻も早く全庁を挙げた財政の健全化に向け、実負担の減額に努力すべきである中、こうした状況下に至ってもなお、一段と加速した防災・減災対策の推進を前面に出し、実負担は変わらないとして、有利な財源を目一杯活用して投資事業を伸ばすことが、果たして適正な行政執行のあり方なのか、県民理解が得られるのか疑問に思うが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、投資事業予算についてでありますが、令和2年度当初予算案では、行財政改革行動計画で示したとおり、一般財源を基準に前年度当初予算の90%以内とした上で、その設定から県の実負担が増加しない範囲内で当初予算と補正予算を一体として計上したものであり、実負担は確実に減額させるものとなっております。
 なお、今回の予算案において、行動計画策定時の想定より事業量が増加したのは、近年自然災害が頻発化・激甚化する中で、防災・減災対策など必要な事業を推進することと将来の実負担の抑制を両立させていくため、国の補正予算などの有利な財源を活用した創意工夫の結果と考えております。

【収入増対策の強化を】
(小山) 財政危機に対応するためには、収入を増やす対策として「企業版ふるさと納税」を積極的に活用していく必要があるが、「企業版ふるさと納税」による収入を増やすため更なる活用に向けどう取組を強化していくのか、知事に伺う。

(知事) 次に、企業版ふるさと納税のさらなる活用についてでありますが、企業版ふるさと納税につきましては、今年度、全庁を挙げて本県にゆかりのある企業等に働きかけを行っており、1月末時点で11社から1,955万円の寄附を獲得したところです。
 来年度は、寄附額の約9割が税額から控除されるなど、制度の大幅な拡充が行われ、全国的に企業の関心が高まることが考えられることから、本県としましても、議員ご指摘のとおり、企業版ふるさと納税を一層積極的に活用していきたいと考えております。企業に対し、制度拡充により一層活用しやすくなることをPRするとともに、企業からの応援が得られるような本県の地方創生プロジェクトを幅広く認定事業として示し、引き続き、効果的に働きかけを行ってまいります。

(小山) 国の東京一極集中の解消に向け、事業所の地方移転を促す「地方拠点強化税制」について、県として全国初の法人県民税の一部を減額する条例を設け、積極的に誘致に取り組むとしているが、その見通しについて知事に伺う。

(知事) 次に、地方拠点強化税制を活用した企業誘致の取組についてでありますが、首都圏への人口流出を抑止するためには、首都圏企業の本社機能移転などにより、若者や女性に魅力ある雇用の場を創出することが重要と考えております。
 このため、県では、国の支援策に加え、独自の税制優遇を設けて誘致に取り組んでおり、令和2年1月末現在で、地方拠点強化税制を活用した誘致件数は9件となっています。
 近年、特にIT関連企業が地方にサテライトオフィス等を開設する動きがあり、今後さらに、優秀な人材、BCP、首都圏からの近さなどの本県のメリットをアピールするとともに、新年度予算案に計上しているIT関連企業への支援策の拡充なども活かしながら、これまで以上に誘致の促進に努めてまいりたいと考えております。

【超過課税の導入に反対】
(小山) 行財政改革行動計画には、県税収入増に向けた超過課税の導入検討が打ち出されているが、合理的な範囲で負担を求めるものであれば、財源確保の手段の一つとして検討していくとのことである。
 しかし、消費税率の10%への引き上げや行財政改革行動計画の実施など、県民生活における増税感・負担感は一段と強まっている中、県の失政による財政危機から超過課税を導入すれば、県政不信が極まり、県行政のあり方が根底から問われることになりかねない。
 一層の効率・効果的な行政推進と、不断の事業見直しなどを促進する中で、県民に対する超過課税を行うべきでないと考えるが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、超過課税の導入についてでありますが、行動計画では、厳しい財政状況において、将来の県勢の発展に向けた新たな施策を展開していく際には、その財源として他県で実施している超過課税等の導入について検討することとしています。
 将来の新潟県に必要な新たな施策が、県民に広く受益があり、合理的な範囲で負担を求めるものであれば、財源確保の手段の一つとして検討に値するものと考えております。

【本県の企業・創業は深刻】
(小山) 新潟県の開業率が全国46位の際だった深刻な状況にあることは、新規創業や成長分野への支援などに取り組むために発足した、にいがた産業創造機構が起業家の育成に向けて十分な機能を発揮していない状況にあるのではないかと考えるが、知事の見解を伺う。
 また、起業・創業を育成支援するため、県内に4つの「民間スタートアップ拠点」事業者が選出されたことで、起業・創業の推進を加速することが期待されるが、この民間拠点のスタートによる、起業・創業を増やし、新たな産業を創造する取組に、どのような指導・支援を行っていく考えか、併せて知事に伺う。

(知事) 次に、にいがた産業創造機構による起業家育成と、民間スタートアップ拠点への支援についてでありますが、これまで、にいがた産業創造機構では、資金提供や相談対応を中心とした事業化等の支援により、この10年間で約700件の起業・創業を後押しし、着実に新規ビジネスを生み出してまいりました。さらに、起業・創業を含めた支援企業約400社への平成30年度のアンケート調査によれば、売上高合計が前期比で約200億円の増加となるなど、起業家の輩出・育成とともに、その後の着実な成長にも貢献してきたものと考えております。
 その一方で、開業率が低い現状を踏まえると、起業数をさらに増やしていくためには、直接的な支援はもとより、起業家に寄り添い、幅広いニーズに応える環境が必要です。
 そのため、支援機関による創業支援プラットフォームや先輩経営者によるサポートネットワークの設置に加え、今年度から民間スタートアップ拠点の設置促進にも取り組んでおります。
 民間スタートアップ拠点への支援等については、新年度から、大学と連携した高度な起業家教育を提供するとともに、首都圏の拠点等との連携を後押しし、他地域のメンターや起業家との交流の機会を創出するなどにより、ベンチャー企業の輩出や成長を促進してまいります。

3 医療・病院問題について
【県立病院、市町村譲渡、民間譲渡は行うべきでない】
(小山) 県病院局が公表した県立13病院の緊急的な取組には、へき地病院に位置付けられる松代、柿崎、津川、妙高の各病院の機能・規模を縮小して市町村譲渡、地域密着型病院に位置づけられる加茂、吉田の両病院は機能・規模を縮小して民間譲渡や公設民営が提案されている。
 これらの病院は地域医療の拠点として重要な位置付けにあることから、拙速かつ一方的に県の方針を進めることは地域に混乱をもたらすだけであることから、住民を巻き込んだ議論で地域の理解を得ていくことを最優先とすべきと考えるが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、医療・病院問題についてお答えします。まず、県立病院の役割・あり方等の見直しにあたっての地域の理解についてでありますが、地域において将来にわたって持続的に医療機能を確保していくためには、住民をはじめ関係者の理解と協力を得ることが重要であると考えております。
 昨年11月、県立病院経営委員会から「県立病院の役割・あり方に関する提言」をいただきました。その後、この提言を基本的に尊重しながら、病院類型別に役割・あり方等の見直しを検討してまいりましたが、このたび、病院局において、見直しに関する一定の方向を整理したところです。
 基幹的な病院や専門病院については、提言を受けて、その機能の強化や重点化、あり方の明確化等について具体的に検討し、機能強化プランを作成するなど、医療の質の更なる向上を目指すこととしております。
 一方、地域医療病院については、患者需要等に応じた機能・規模の縮小や、設置・運営主体の見直しを含めた民間医療機関や市町村との役割分担のあり方を検討することとしております。
 まずは、地元市町村等に各病院の現状や今後の見込みなどを丁寧に説明することとしており、その上で今後、各地域医療構想調整会議でもご議論いただき、各病院の役割・あり方について、合意を目指してまいりたいと考えております。
 なお、地元市町村と意見交換を進めていく中で、必要に応じて住民への説明も検討してまいります。

(小山) 県立病院について、12月定例会の連合委員会でも質したが、今後、地域に欠かせない地域医療病院として継続していくためには、安易な市町村や民間への移譲論でなく、地方自治法や地方財政法の規定を踏まえつつ、県と市町村で広域連合を設置するなど様々な手法で、地元の自治体からも応分の負担を求めた上で、人材配置や診療科の充実が可能な県立運営とする方が、持続可能な医療提供体制として適切なあり方と考えるが、再度、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、県立病院の運営についてでありますが、県立病院経営委員会からいただいた「広域行政を担うという県行政の観点」を踏まえた県と市町村の役割分担などの提言は基本的に尊重すべきものと考えており、民間病院も含めて適切な役割分担の下で地域医療を守っていくことが重要であると考えております。
 先ほどお答えしたとおり、地域医療病院については、患者需要等に応じた機能・規模の縮小や、設置・運営主体の見直しを含めた民間医療機関や市町村との役割分担のあり方を検討することとしております。
 今後、議員ご指摘のような、関係者が共同して医療を支えていく手法なども含め、地元市町村と設置・運営主体の見直し等について意見交換を進めてまいります。

【基幹病院のあり方】
(小山) 県央基幹病院の見直しについて、報道によれば、県は、国への届け出は400床とし実質350床にするとのことであるが、これで減少する医療需要に対応できる適切な規模となり、魅力ある施設として若い医師を呼び込み、看護師も確保でき、県央地域にとってより良い医療を提供できる体制となるのか、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、県央基幹病院の見直しについてでありますが、県地域医療構想調整会議において、医療機関の診療実績や医療需要の動向などの客観的なデータをもとに、医師確保の観点も踏まえて、県央基幹病院の機能・規模について議論いただいたものと認識しております。
 県地域医療構想調整会議の結果を踏まえ、病床規模は400床に見直した上で「断らない救急」の実現のために、県央医療圏の急性期機能を集約することで、県央基幹病院に多くの救急症例が集まり、若手医師のキャリアアップが図られるなど、医師にとって魅力ある病院とするとともに、県央医療圏の医療の質の向上にもつなげてまいりたいと考えております。

(小山) 病床数の減少に伴う設計見直しは、当初予定の開院が遅れることから一部にとどめ、空いたスペースは地元自治体と協議して決めるとのことであるが、人口減少に伴う需要減を考えると、過剰投資が適切なのか疑問であるが、知事の見解を伺う。
 また、地元の理解や周辺の民間医療機関等の今後の動向など、検討や調整には相当の時間を要すると思われるが、当初スケジュールである2023年度の開院を目指すとした県の方針の実現が可能なのか、何よりも地元住民の理解が不可欠である中、どのように進めていくのかも、併せて知事に伺う。

(知事) 次に、県央基幹病院の整備についてでありますが、県央医療圏は、他圏域と比べ圏域外搬送が顕著であるなど救急医療提供体制が課題であり、県といたしましては、早期開院を求める地元の声を踏まえ、開院スケジュールも考慮して、基本的に現設計を活かしながら整備を進めてまいりたいと考えております。
 このため、病床規模を450床から400床に見直したことにより、空きスペースが生じる可能性もあることから、過剰投資とならないよう、地元市町村とともに有効な活用方法を検討してまいります。
 なお、地域の医療提供体制の整備に当たっては、議員ご指摘のとおり、地域住民の理解と協力が重要であることから、今後、市町村や地域住民に対して、丁寧に説明し理解を求めてまいりたいと考えております。

(小山) 魚沼基幹病院は、医師や看護師らに36協定以上の時間外労働をさせたことで、小出労働基準監督署から是正勧告を受け、加えて、2015年の開院以来、宿日直の労働基準監督署の許可が得られなかったにも関わらず、勤務形態の改善もせずに4年以上放置し、時間外労働の割増賃金を低額の宿日直手当で済ませていたことも明らかになった。
 これらの問題について、県は新潟県地域医療推進機構にどのような指導をしてきたのか、知事に伺う。

(知事) 次に、魚沼基幹病院に対する労働基準監督署の是正勧告についてでありますが、今回、魚沼基幹病院が労働基準監督署から、36協定違反や4年以上許可を受けずに宿日直勤務として取り扱っていたことなどについて勧告を受けたことは、誠に遺憾であり、早急に是正していただきたいと考えております。
 なお、県から財団への具体の指導につきましては、福祉保健部長から答弁いたします。

(福祉保健部長) 魚沼基幹病院に対する労働基準監督署の是正勧告についてでありますが、県では、これまで、運営財団に対し、毎年度の病院への立入調査の際に時間外勤務の状況を確認し、36協定の遵守に向けて取り組むよう指示してきたところです。
 また、宿日直許可についてですが、運営財団からは、魚沼基幹病院の開院当時に小出労働基準監督署へ宿日直許可申請を行ったところ、多数の救急外来患者が来院している状態では許可できないとの指導があり、申請を取り下げたものの、救急医療の提供を継続するため、やむを得ず宿日直勤務として取り扱ってきたと聞いております。
 県では、昨年7月に、国から宿日直許可基準の細目が新たに示されたことから、許可を得るための取組を進めるよう財団を指導していたところであり、今回の勧告を受け、財団では、既に一部の部門において監督署の許可を得るなど是正に向けて取り組んでいることから、県としても、引き続き指導してまいります。

(小山) 県央基幹病院の運営主体について、県は新潟県地域医療推進機構も運営主体の候補であるが決定したものではなく、県の一定の関与が可能な財団法人等を基本に、幅広く検討していくとのことであった。
 これまでの機構の魚沼基幹病院運営を見ても、いまだ全面開院ができない現状も踏まえれば、魚沼に加え更に県央を任せることは大きな問題があると考えるが、運営主体について、どのような検討が行われてきているのか、知事に伺う。
 また、県央基幹病院の運営主体について、公設民営方式が望ましいとしているが、魚沼基幹病院の現状を見れば公設民営のメリットは感じられず、看護師などの人材確保などの観点からも、県立県営が妥当な方法ではないかと再三質してきたが、再度、このことについても併せて知事の見解を伺う。

(知事) 次に、県央基幹病院の運営主体についてでありますが、県地域医療構想調整会議において、医療需要の減少や国の医療制度改革の影響など、県央基幹病院整備基本計画策定時からの状況変化があることから、まずは県央基幹病院の機能と規模の議論を先行させてきたところです。
 この度一定の結論をとりまとめていただいたことから、今後開院準備を進める上で支障とならないよう、早急に運営主体の選定に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、運営方式については、柔軟な医師派遣、医師確保や民間ノウハウを活用した効果的、効率的な病院運営を実現するためにも、指定管理者に運営を委ねる公設民営方式が望ましいと考えております。

4 農業問題について
(小山) 他県のブランド米の台頭、猛暑による1等米比率の大幅低下などにより、コメ王国新潟県の地位は大きく揺らいでいる中、TPP11、日欧経済連携協定(EPA)、日米貿易協定が次々と発効され、前例のない規模の農産物市場開放により、安価な輸入農産物が拡大されることで、新潟県農業は厳しい状況におかれることになる。
 これに対する国の農政は、形式的なTPPなどの貿易協定対策が計上されているものの、相変わらず新自由主義的な「競争力強化」と大規模農家支援に偏重した政策であると指摘せざるを得ないが、こうした本県農業を取り巻く環境にどう対応していくのか、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、農業問題についてお答えします。まず、本県農業を取り巻く環境への対応についてでありますが、TPP11や日米貿易協定等が発効し、国内の農業生産を巡っては、議員ご指摘の輸入農産物との競争だけでなく、国内における産地間の競争も激化していくものと受け止めております。
 県といたしましては、付加価値の高い持続可能な農業の実現に向け、担い手への農地集積・集約化を進め、規模拡大や多角化・複合化等による経営基盤の強化を図るとともに、上質な農産物を国内外に提供することなどで、本県農業の成長産業化に取り組んでまいります。
 また、大規模経営はもちろんのこと、小規模・家族経営も地域の持続性を高める役割を持つ重要な担い手であると認識しており、規模の大小を問わず、意欲的な農業者がその創意工夫を最大限発揮できるよう支援してまいりたいと考えております。

(小山) 2018年の農業産出額で、本県はコメでトップを守ったものの、コメ以外では減少し、前年より26億円少ない2462億円と全国13位となり、コメ主体で園芸作物の取組が弱い本県では、総額で隣の山形県や長野県より遅れを取っている実態が明らかになった。
 県は、「園芸振興基本戦略」を策定し、園芸振興を進めているが、国の主食用米からの転作支援強化も踏まえ、付加価値の高い園芸作物の生産拡大により、「稼げる農業」の実現に向け、危機感を持った対応が求められているが、どう取り組んでいくのか知事の見解を伺う。

(知事) 次に、園芸作物の生産拡大についてでありますが、本県の農業産出額は、平成6年をピークに、米の需要減少や米価下落等によって平成30年には約6割まで減少しており、議員ご指摘のとおり、稲作農家への積極的な園芸導入など、危機感を持って取り組む必要があるとの考えから、関係機関・団体とともに昨年7月に園芸振興基本戦略を策定したところです。
 稲作農家への園芸導入には、労働力の確保など多くの課題があり、一気には進みづらい面もありますが、機械化や集出荷体制の整備、就農促進から経営発展まで一貫した支援による担い手の確保、スマート農業の導入促進など、関係機関・団体と一体となって、挑戦する農業者や産地を様々な面から伴走型で支援することで、園芸振興基本戦略の目標を着実に達成してまいります。

(小山) 政府が生産を誘導してきた飼料用米については、本県でも積極的な政策誘導で、一時急増したものの2016年をピークに急減し、2019年は半減する見込みであるとのことである。
 飼料用米に取り組む稲作農家の所得向上のためには、飼料用米生産から畜産物の販売にいたるまでの安定したプロセスの構築が必要であり、そのためにも、地域における飼料用米の需要拡大や、新潟県産飼料の特徴を活かした畜産物の高付加価値化、ブランド化を図る取組などが必要と考えるが、知事の見解を伺う。

(知事) 次に、飼料用米生産と畜産物の高付加価値化等についてでありますが、飼料用米は、流通コストを削減できる地域内流通を進めることで、稲作農家と畜産農家の双方にメリットがあり、また、米どころのイメージを活用した畜産物の高付加価値化も期待されるものと認識しております。
 このため、県といたしましては、稲作農家と畜産農家が連携した地域内流通を促進するとともに、畜産農家の規模拡大を進め、飼料用米を活用した畜産物の商品化や地域ブランドの確立に向けた取組を支援することなどで、付加価値の高い持続可能な畜産業の実現と、飼料用米生産による稲作農家の所得確保を図ってまいりたいと考えています。

5 原発問題を問う
【伊方原発3号機の運転差し止め決定の受け止めは】
(小山) 四国電力伊方原発3号機の即時抗告審で、広島高裁は災害想定の甘さを全面的に批判し、活断層の調査が不十分とした住民の主張をくみ取り運転を認めない決定を下した。
 注目すべきは原子力規制委員会の審査判断に疑問を投げかけたことであり、これにより、各地の原発の再稼働の是非をめぐる議論に大きな影響を及ぼすことが必至と考える。
柏崎刈羽原発も、活断層が指摘されている大きな断層帯を抱えており、基準地震動を超える危険性があることでは共通していると考えており、原子力規制委員会は柏崎刈羽原発における活断層問題の議論を一方的に打ち切ったと考えるが、今回の運転差し止め決定について、知事はどのように受け止めているか伺う。

(知事) 次に、原発問題についてお答えします。まず、四国電力伊方(いかた)原発3号機の運転差し止め仮処分の決定についてでありますが、
 他県の原発のことであり、責任を持って情報を収集し分析する立場にはないことから、発言は差し控えさせていただきます。
 県といたしましては、引き続き技術委員会において、原子力規制委員会の審査内容に疑問が残る点について、確認していただきたいと考えております。

【原発コストは安いといえるか】
(小山) 共同通信の調査で、全国の原発の安全対策費等の総額が約13兆5千億円にも上ることが明らかになったが、最終的には電気料金に上乗せされ長期的な国民負担となる。
 安価で安定した電源という原発の優位性理論はすでに崩壊し、経済的に成り立たないのではないかと考えるが、「原発再稼働に慎重」姿勢をアピールして当選した花角知事として、これまで他の電力と比べて安いと言われてきた原発の発電コストについて、どのように受け止めているか伺う。

(知事) 次に、原発の発電コストについてでありますが、議員ご指摘の安全対策費を踏まえた発電コストを、県として評価するための情報を持ち合わせておりません。
 国策として原子力事業を進めてきた経緯から、国が責任を持って国民が納得できるよう十分な情報提供に努めてもらいたいと考えております。

【小泉大臣・安定ヨウ素剤発言の真意は】
(小山) 安定ヨウ素剤について、PAZ圏内の住民には自治体による事前配布が規定されているが、小泉原子力防災担当相は、UPZ圏内住民にも積極的に配布するよう関係道府県に要請した。
 UPZ圏内には約44万5千人の住民が居住しており、地域住民の安全を考えれば、UPZ圏内でも安定ヨウ素剤を事前配布すべきと考えるが、小泉大臣の要請は国の費用負担や事務負担が伴っているのか、知事はどのように受け止め、どう対応していくのか伺う。

(知事) 次に、小泉原子力防災担当大臣の要請に対する受止め等についてでありますが、このたびの小泉大臣の要請内容を国に改めて確認したところ、UPZ内の住民に対する安定ヨウ素剤の事前配布は、避難の際に学校や公民館等の配布場所で受け取ることが困難で、事前配布によって避難等が一層円滑になると想定される地域の住民に限られるとのことであり、従来の考え方から大きく踏み出した内容ではないものと認識しております。
 議員御指摘のとおり、県といたしましても、UPZ内の全ての住民に対して、基本的に事前配布することが望ましいものと考えておりますが、このたびの要請においても、自治体に多大な費用や事務負担が生じることに変わりがないことから、国による財政支援や事務軽減について、関係する道府県と連携して、引き続き国に対して強く要望してまいります。

【どうなっている地下式フィルタベント】
(小山) 柏崎刈羽原発6、7号機は、原子力規制委員会の原子炉設置変更許可が出され、現在、7号機を先行して液状化対策の9月完了、工事を12月中に全て終わらせる計画で進められている。
 しかし、県は安全確保のために地下式フィルタベント設備を設置することを東京電力と約束しているにも関わらず、これに関する工事などは全く俎上に上がっていないが、再稼働を議論する前に地下式フィルタベント設備が完成していなければならないのではないのか、知事に見解を伺う。

(知事) 次に、原発再稼働の議論についてでありますが、原発事故に関する3つの検証の結果が示されない限り、原発再稼働の議論を始めることができないと考えております。
 なお、地下式フィルタベント装置について、県は、安全確保のために東京電力と設置することを約束しており、今後、耐震性について技術委員会で確認していただくこととしております。

【3つの検証、どう整理】
(小山) 現在、3つの検証は、原発事故による放射線量と甲状腺がんの因果関係、地震が原因であれば全国の原発の耐震設計の抜本的な見直しにつながる重要な問題である地震か津波かの福島原発事故の原因、高線量下での二段階避難では実効性が保たれない避難計画、原発を動かすことの東京電力の適格性などの課題が残されたままである。
こうした中、報告書が出された時点で検証は終了というわけにはいかないが、現状段階における3つの検証委員会の検証状況について、知事はどのように把握し自身の見解を整理しているのか伺う。

(知事) 次に、原発事故に関する3つの検証の状況についてでありますが、各検証委員会において、事実に基づき科学的、合理的に検証するために必要な項目・課題を設定し、議論していただいており、検証作業が精力的に進められているものと受け止めております。
 また、3つの検証に対する見解についてでありますが、検証が継続していることから、現時点でお示しできません。
 いずれにいたしましても、検証結果を踏まえ、最終的にはリーダーとして責任を持って、見解を県民の皆様にお示ししたいと考えております。

6 教育問題について
(小山) 昨年12月の臨時国会においていわゆる改正給特法が成立し、残業時間の上限規制が法的に位置付けられ、4月1日より適用されることとなった。
 文部科学省は各教育委員会に対し、今年度内の「条例化」に向けた整備を促していることから、早急な「条例化」に向けた取組が必要と考えるが、どう対応していくのか教育長に伺う。
 また、各自治体が「指針」の上限より厳しい上限時間の設定が可能となっていることから、本県の長時間労働が改善されない現状を是正する観点からも、国の指針よりも上限を下げる時間数の設定を検討すべきと考えるが、併せて教育長の見解を伺う。

(教育長) 残業時間の上限規制に係る条例改正等についてでありますが、国からは、県及び市町村の教育委員会に残業時間の上限方針の策定を促すために、県費負担教職員の勤務時間条例を所管する県に対し、関係条例の改正を求めたものと伺っております。
 本県は、既に「県立学校の教員の勤務時間の上限に関する方針」を策定したことから、条例の改正までは必要ないものと考えており、また、県内各市町村教育委員会においては、現在、上限方針の策定や検討が進められているため、今後、その策定状況を見極めたうえで、必要に応じ、関係条例の改正を検討してまいります。
 なお、本県県立学校においては、先般定めた上限時間を大きく上回って勤務している教員が一定数いることから、まずは、「上限に関する方針」に基づき、各学校と連携し、実効性のある取組を着実に進めることが重要であり、現時点では、国が「指針」で定めた上限を下回る時間の設定は考えておりません。

(小山) 改正給特法に対する附帯決議 には、残業も含む在校等時間の上限設定に当たって、「臨時的な特別の事情」を特例的な扱いとして指針に定める場合は、例外的かつ突発的な場合に限定されることを周知徹底することを求めている。
 しかしながら、いじめ対応や生活指導などは、臨時ではなく日常であり、例外的・突発的などは極めて限定しなければ、すべてこの「臨時的な特別の事情」に整理されてしまう懸念があるが、具体的にどのような業務を想定し、どう歯止めをかけていくのか、教育長に伺う。

(教育長) 次に「臨時的な特別の事情」の特例的な扱いについてでありますが、本県においては、教員の「臨時的な特別の事情」の特例的な扱い等については、人事委員会規則により、災害や重大な事件等に対応するために必要な業務に臨時的に従事させる場合に限定されており、この規定に基づき各学校を指導しているところです。

(小山) 改正給特法により導入された変形労働時間制に対し、昨年12月定例会の教育長答弁では、一定の効果を認めつつも、実質的な教員の負担軽減につながるかは疑問であるとし、まずは業務削減に取り組んだうえで、導入の判断は慎重に行うべきとのことであった。
 一方、新潟県の教員採用試験の競争倍率は、小学校・中学校で全国最低となり、その背景には改善されない時間外労働などから「ブラック職場」として敬遠されている要因があると考えられる。
 こうした実態と改正給特法を踏まえ、超過労働の縮減など働く環境の改善や、業務削減にどう取り組んでいくのか、教育長に伺う。

(教育長) 次に、教育現場の働く環境の改善と業務削減への取組についてでありますが、多忙化解消アクションプランの策定に加え、スクールサポートスタッフや部活動指導員など、外部人材の導入や、若手教員の授業作りを支援する「新潟県教育支援システム」の利用促進など、時間外勤務の縮減に取り組んでまいりました。
 これらに加え、このたび策定した「県立学校における教員の勤務時間の上限に関する方針」に基づいた取組を推進するとともに、市町村教育委員会に対しては、部活動数の見直しや学校行事の削減などの先進事例を紹介することにより、勤務時間の上限方針の策定や業務削減に向けた取組を積極的に働きかけてまいります。


2019/12/18(水)
 12月県議会も20日で終了する終盤となりました。常任委員会での質疑を経て、再度知事に質すため16日の連合委員会質疑に登壇し、花角知事と一問一答の論戦を展開しました。 以下、主な質疑内容です。
新知事代表質疑小山  花角知事A


1 避難計画等について
(小山) 実際に原発事故が起こると、放出された放射性物質は、天候などにも影響し拡散が十分想定されることから、県が設置している155ヵ所のモニタリングポストだけでは、実態の把握は不十分であります。
 福島原発事故では、緊急事態宣言直後からSPEEDIが稼働し、大量の放射性物質の流れが予想されていたにもかかわらず、住民のパニックを恐れる政府と福島県により隠蔽されました。このため、適切な避難指示を出さずにベントを開始、安定ヨウ素剤の
適切な配布もなされず、住民は無用な被曝を強いられました。
こうした経過がありながらも、国は、SPEEDIによる事前予測は不可能であったとして、今後、活用しない方針を決め、県が独自に活用することは自由としてきています。
 SPEEDIの活用については、県としても重要な情報源と受け止め、全国知事会等を通して国に求めていくとしていますが、120億円もかかると言われていることから、国が支援に否定的な場合は、東京電力からの費用負担も視野に入れ、県独自のSPEEDI活用の検討を行うべきでないのかと考えますが、知事にお伺い致します。

(知事) 放射性物質の拡散予測の活用についてでありますが、県といたしましては、防護対策を判断する際の一つの重要な情報と受け止めており、県の地域防災計画においても、拡散予測を緊急時モニタリングや避難の検討で参考情報として活用することにしております。
 このため、拡散予測の活用について、引き続き、国に対し対応を求めてまいります。
 委員ご指摘の県独自での活用は、労力や能力、人材面からも困難と考えておりますが、拡散予測のプログラムを持っている事業者との連携等も検討してまいりたいと考えております。

(小山) 原発事故時のUPZ圏内における要支援者施設等が600施設もある中、放射線防護対策が整備されている施設は、国の放射線防護対策補助事業が希望制のため、僅か4施設にとどまっていることが明らかになり、今後、県は対象施設の事情等を聞き、市町村と検討していくとのことでありました。
 いつ原発事故が起こるかも分からない状況下、要配慮者施設の放射線防護対策を、施設側の対応に任せるのではなく、県の主導のもと早急に整備計画を策定し取り組んでいくべきでないかと考えますが、知事にお伺い致します。

(知事) 福祉施設等の放射線防護対策についてでありますが、UPZ圏内の放射線防護対策実施施設を増やすことは、要配慮者等の防護措置として望ましいと考えております。
 現在、放射線防護対策補助事業の対象となる福祉施設等に対し、放射線防護対策を実施する上での課題等を照会しているところであり、今後、個別の事情等を施設から直接お聞きするなどして、放射線防護対策実施施設の増加を図ってまいりたいと考えております。

(小山) 原発事故時における二段階避難方式について、UPZ圏内住民の屋内に退避する木造家屋などの完全な遮蔽効果は必要ないとのことであり、屋内退避での被ばくが十分に懸念されます。
 また、屋内退避後に一定の線量に達したら、屋外避難も放射線量下の移動となり、被ばくは必至の事態となります。
 私は、「一人の被ばく者も出さない」ことが、本来あるべき実効性のある避難計画であると認識してきましたが、県の避難計画は、健康に被害がない範囲で一定の被ばくはやむなしの前提で策定されたものと受け止めざるを得ないのか、改めて知事にお伺い致します。

(知事) 実効性のある避難計画についてでありますが、UPZ圏内の防護措置については、国の原子力災害対策指針に基づき、全面緊急事態となった段階で、まずは屋内退避を実施し、さらに、放射性物質が放出された後、放射線量が基準以上に上昇した場合に、上昇した地域を対象に避難等を行うこととしております。
 県としましては、県民の安全を最優先に、被ばくが健康に影響のないようにとどめられ、かつ、大きな混乱なく確実に実行できることについて相当程度の確証が持てるよう避難計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。

(小山) 県の避難計画では、避難時の被ばく線量は想定しておらず、国の基準で対応するとのことであります。
 その国の基準は、「OIL」という表示レベルで設定されており、原発事故で放射性物質の放出後、人体への直接的な影響を踏まえた避難の判断基準であります。
 その国の基準である屋内退避から即時避難の「OIL1」は、一週間で50m㏜、一週間内に一時移転の「OIL2」は年20m㏜に相当するとしています。
 しかし、放射線管理区域の基準の年換算5.2m㏜から見ると極めて高い基準であり、少なくとも「OIL2」は、一般の法令被ばく基準である年1m㏜にすべきであり、「OIL1」はこれでも高いと思うが、福島の強制帰還基準・年20m㏜にすべきであると考えます。
 県民の健康と安全を守る責務のある知事として、こうした住民被ばくを前提にした避難計画でよいのか、見解をお伺い致します。

(知事) 避難の判断基準となる線量についてでありますが、県は、国の原子力災害対策指針に基づき、避難等の判断基準を設定しておりますが、この基準は国際的な基準よりも低くなっていると承知しております。
 いずれにいたしましても、県としましては、県民の安全を最優先に、原子力災害時においては、被ばくが健康に影響のないようにとどめることが重要と考えております。

(小山) 「OIL1」はIAEAの国際基準の1/2と、国際的な基準よりも低くなっているとしていますが、これでも高すぎるものであり、これを根拠にすることは、初めから「住民の健康と安全を確保する視点」がないことを宣言するようなものであり、決して許されるものではないと考えます。改めて見解をお伺い致します。

(知事) 明確に答えられず、同じ答弁の繰り返し

(小山) UPZ圏内の住民に「OIL1」基準で避難と判断され、その指示が出るのは、一時間に500μ㏜という極めて放射線量濃度が高くなってからであります。
 UPZ圏内の住民が、目の前をPAZ圏内の住民が即時避難していくのを見ながら、完全な遮蔽効果のない屋内にこもって被ばくの犠牲になっていられるだろうか。極めて現実離れした二段階避難方式であります。
 原発の異常事態を受け、緊急事態を判断する基準となる「EAL1」の警戒事態で、PAZ圏内住民の避難を開始し、「EAL2」の施設敷地緊急事態では、UPZ圏内住民も、「OIL」に基づく判断を待たずに避難すべきであります。
 こうした現実性のない避難方式について、国に是正を求めていくと同時に、県独自の避難のあり方を検討していくべきではないのか、知事にお伺い致します。

(知事) 避難のあり方についてでありますが、 県といたしましては、災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づき地域防災計画と広域避難計画を策定し、国の原子力災害対策指針に基づき、段階的避難や防護措置を実施することとしております。
 検証や訓練の中で明らかになった課題の解決に取り組み、その結果を適宜計画へ反映することを繰り返すことによって避難計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。(これも同じ答弁の繰り返しで、まともな答弁になっていない)

(小山) 安定ヨウ素剤は放射性物質を体内に取り込む前に、予防服用することで効果があるとされている中、今回の訓練ではスクリーニング時に配布されました。
 県の配布計画でUPZの住民に対し、スクリーニング時や避難経路上で行うとしていることは、効果がない状況下で受け取ることになり、実効性に疑問が残ります。
 「OIL」に基づく避難では、すでに放射性プルームが到達して放射線量が高くなってからの避難となっており、避難途中の施設で安定ヨウ素剤の配布や服用では手遅れとなり、PAZだけでなく、少なくともUPZ内は事前配布すべきであります。
 県は、国に郵送での配布ができないか要望しているとのことでありますが、住民を被ばくから守る重要な取り組みだけに、約42万人が居住しているUPZ圏内住民への配布について、どのように進めていくのか、再度知事にお伺い致します。

(知事) UPZ内住民への安定ヨウ素剤の配布についてでありますが、県の「安定ヨウ素剤配布計画」において、県はスクリーニングポイント等で、市町村は、あらかじめ定めた場所で配布を行うこととしており、現在、市町村と、バスに乗車する際の一時集合場所など、緊急時の配布場所について調整しているところです。
  一方、緊急事態時の服用を考慮すると、委員ご指摘のとおり、UPZ内の住民に対しても、基本的に事前配布とすることが望ましいものと考えております。
 ただし、現行の事前配布方法は、住民や行政への負担が大きいことから、郵送による配布や医師関与の見直しなど更なる簡素化について、これまでも国に要望してきたところでありますが、今後とも強く要望してまいります。

2 関電の不適切な金品授受問題に関連して
(小山) 関電役員が原発立地の福井県高浜町の元助役から、多額の金品を受け取っていた問題は、原発利権を巡る闇の部分が氷山の一角として露呈し、他の電力会社や自治体、政界にそうした実態はないのかとの国民の声も多く、この問題の発覚は、日本のエネルギー政策を変える公算もあるとの指摘も出されています。
 本県における内部調査では、そうした事例は確認できなかったとのことでありますが、過去において、原発関連担当職員の電力会社への天下りの実態を委員会で質すと、平成に入ってから平成14年度までに3名の職員が天下っていたとのことでありましたが、それ以前にも定期的に行われていたと考えます。
 事実、私の調べた範囲でも同様な実態があり、当時、原発のトラブルで県に説明に来た東電幹部が、過去に原発関係を担当していた元県職員であった事例もありました。
 県は原発の安全性を監視する側であり、一方、東電は原発を推進する側であり、まったく相反する立場がなれ合いとなっていては、県の原発政策に対して県民は信用できません。
 現在は天下りがないとしても、過去にあった事実は消せませんが、知事として、どのように受け止めているかお伺い致します。

(知事) 過去の県職員の電力会社への再就職についてでありますが、当時の状況の詳細は承知しておりませんが、いずれにいたしましても、県民の皆様から疑念を持たれるような対応は厳に慎むべきであると考えております。

(小山) 電力会社をめぐる天下りに関連して、私はこれまで天下り問題について再三指摘してきた経過がありますが、先般行われた平成30年度の決算審査資料でも、天下りは前年度より増加している実態があります。
 今回の関電の原発マネーをめぐる不正事件を契機に、県行政全般にわたる天下りの規制の強化を行うべきと考えますが、知事の見解をお伺い致します。
 また、人事課が日常業務の一環として、職員の退職後における就職先をあっせんしている現状は適正なのか、県民に理解が得られるのか疑問であります。
 危機的な財政状況下、行財政改革行動計画の実行に向け、県民から理解を得るためにも、こうした行政のあり方も率先して改革すべきでないのか、併せて知事の見解をお伺い致します。
(小山は、厚生環境委員会所属、質問内容は創味文教委員会所管事項であり相応しくないと委員長は取り上げず)

3 県央基幹病院について
(小山) 県央基幹病院の運営主体について、知事は本会議で「柔軟な医師派遣、医師確保や民間のノウハウを活用した効果的、効率的な病院運営を実現するためには、公設民営方式が望ましい」と答弁していますが、魚沼基幹病院の現状からも、公設民営のメリットは感じられず、県立県営とすべきと考えますが、知事の所見をお伺い致します。

(知事) 県央基幹病院の運営主体についてでありますが、魚沼基幹病院では、併設する新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センターの教員を兼務する医師を、周辺病院へ派遣しながら地域医療を支えていることが、メリットのひとつだと認識しており、県央基幹病院についても、こうした柔軟な医師派遣や効率的な経営が可能となる公設民営方式が望ましいと考えております。
 いずれにいたしましても、県地域医療構想調整会議において議論されているとおり、まずは機能と規模等の議論を見守ってまいります。

(小山) 職員は計画通りの採用確保ができているとしていますが、計画通りに職員が確保できておらず、そこを補うためと思われる夜勤専門看護師の導入が組合に提案されています。
  現在は、循環器内科が不在、3人いた心臓外科医が現在1人となるなどいずれも手術対応はできず、長岡に搬送するなどで、地域完結型の機能を果たしていない。
  加えて、看護師・助産師の確保の現在状況は、合計398人中、140人は県からの派遣職員や、他、大学からの出向1人に頼らざるを得なく、現状の356床を稼働させるには、実働経験者が不足しているのが実態であります。
 このように、看護職員に関しては県立病院のネットワークに頼らざるを得ず、医師に関しても県内の医師数が限られている中、運営形態の如何を問わず、確保が困難な状況にあり、一般会計からの繰入金も、魚沼基幹病院は26憶円余りと、公設民営としても県の財政に頼るところが大きく、財政面からもメリットがあるとは言えません。
 こうした魚沼基幹病院の公設民営のメリットが見られない実態を踏まえ、県央基幹病院については、県立県営とすべきでないのか、再度知事にお伺い致します。

(知事) 明確に答えられず、同じ答弁の繰り返し

(小山) 県央基幹病院の見直しにあたっては、改めて、県央医療圏の現状と将来を見据え、県立加茂・吉田病院、さらに民間医療機関を含めた役割分担・機能・連携体制を明確にした中で、人口変動等に対応し得る規模への検討が必要であると考えます。
 そのためにも、単に病床数の削減や縮小見直しなどの拙速な結論を求めるのではなく、地域の理解を得ることを優先に、徹底した情報公開と住民参加で進めていく必要があると考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 県央基幹病院の見直しについてでありますが、医療機関の診療実績や医療需要の動向などの客観的なデータをもとに、地元の病院長や医師会長などの医療の専門家からなる県地域医療構想調整会議において、県央基幹病院の機能と規模等について議論いただいているところです。
 調整会議での議論の内容は、座長によるブリーフィングや県のホームページで公開するなど、情報公開に努めているところでありますが、こうした議論の結果を尊重した上で、市町村の意向も丁寧に伺いながら判断してまいりたいと考えております。

 4 県立病院運営について
(小山) 県立病院の役割・あり方の提言の中に、再編・統合、市町村、民間への譲渡など運営主体や運営方法の見直しが挙げられていますが、これまでは県立だから県が運営費を負担するのは当たり前との考えが定着し、地元自治体の負担が検討されてきませんでした。
 今後、地域に欠かせない地域医療病院として継続していくためには、安易な移譲論でなく、地方自治法や地方財政法の規定を踏まえつつ様々な手法で、地元自治体からも応分の負担を求めた上で、県直営でいく方が適切でないかと考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 県立病院の運営についてでありますが、 県立病院経営委員会より「広域行政を担うという県行政の観点」を踏まえ県と市町村の役割分担について提言をいただいており、民間病院も含めて適切な役割分担の下で地域医療を守っていくことが重要であると考えております。
 今後、提言等を踏まえ、各県立病院が具体的に果たすべき役割や運営主体を含めたあり方、機能・規模などを検討する中で、役割や受益に応じた費用負担のあり方についても考慮に入れる必要があると考えております。

2019/11/29(金)
10月30日~11月8日まで、平成30年新潟県普通会計決算審査特別委員会が開催され、私は、ほぼ全ての部局に渡って質疑を行ってきました。
 その一連の質疑を踏まえ、11月27日に花角知事に対し、財政危機に陥った要因等など総括質疑を行いました。
 以下は、質疑の主なる内容であります。

1 財政問題について
(小山) 平成30年度決算の実質収支は、約12億6千万円と黒字基調が続いているものの、年々急激な落ち込みとなっており、6年間黒字であった実質単年度収支は、一転して約6億6千万円の赤字となりました。
 一方、財政指標を見ますと、年々悪化している経常収支比率は96.7%でありますが、臨時財政対策債を経常一般財源と見なした算出方法で引き下げられた数値になっており、潜在的には大幅に上昇し危険水域にあります。
 また、実質公債費比率も15.9%と悪化するなど、一段と財政の硬直化が進んでいます。
 こうした平成30年度決算状況を、知事はどのように総括しているか見解をお伺い致します。

(知事) 平成30年度決算に対する見解についてでありますが、地方交付税が減少したことに加え、少子化対策を含む社会保障関係経費の増加等により相当規模の財政負担が生じ、内部管理コストの縮減等に取り組んだものの、結果として昨年度を上回る財源対策的基金等の取崩を行いました。
 実質収支は財源対策的基金等の取崩を行ったことから黒字となっておりますが、財源対策的基金と県債管理基金の公債費調整分を合わせた取崩額は、昨年度から44億円増加の117億円となっており、非常に厳しい財政状況となっております。
 このような厳しい財政状況の中でも持続可能な県政を実現するため、行財政改革の基本方針と具体的な対策をとりまとめ、行財政改革行動計画を策定したところです。
 今後は、この計画を着実に実行していくことが重要と考えております。

(小山) 知事は、決算年度の2月に実質公債費比率が、2017年度で全国ワースト6位の14・9%をとなったことから、2022年度にも起債許可団体となる18%を突破する可能性が高まったとして、新年度予算案の発表と併せ財政危機宣言を行いました。
 私は、経常収支比率や実質公債費比率など財政指標が悪化していることから、これまで決算審査のたびに、泉田元知事の財政運営を再三厳しく質してきましたが、泉田元知事は、「こうした財政指標は世界各国にはない日本独自の指標であり、指標の悪化をとらえた議論は何の意味もなく、指標自体の存在意義に疑問がある」との姿勢を崩そうとしませんでした。
 また、先般のマスコミ報道でも、「仮にいま知事をやっていたら同じことを言うだろう」とも述べていいます。
 もし、こうした泉田元知事の考え方が正常な財政運営であるとなれば、花角知事が発表した県民に負担を強いる行動計画は必要がないことになり、県民の理解が得られないと考えますし、実際に県民から、財政危機に懸念を抱き、財政危機の本質に対する検証を求める声が、新潟日報の窓欄に投稿されています。
 私は、こうした泉田元知事の姿勢が財政悪化を招いた大きな要因となっていると改めて指摘しますが、知事は泉田元知事の財政指標に対する考え方をどのように受け止め、どう評価をしているのかお伺い致しします。

(知事) 財政指標に対する考え方についてでありますが、経常収支比率は財政構造の弾力性を、実質公債費比率は毎年度の公債費の実負担等の大きさを、それぞれ表した指標であり、他県との比較や公債費負担のコントロールをしていく上で参考にすべき重要な指標と認識しています。
 一方、将来的な公債費の実負担が毎年度どのように推移するかまでは、財政指標からは認識できなかったことから、本年2月改訂の財政運営計画において、一定の前提のもと試算して明示しました。
 今後も財政指標を参考にするとともに、こうした試算を継続的にお示しながら、堅実な財政運営を行っていきたいと考えております。

(小山) 資金手当債の発行については、厳しい財政状況から安定的な財政運営に支障を及ぼす場合、通常の地方債を超えた隙間部分に、将来の償還財源を確保できると見込まれる範囲内で特別に認められているものでありますが、県は2003年度以降、資金手当債を最大限発行してきており、中越地震の災害対応が落ち着いた後も発行を続け、決算年度においても100億円以上発行しています。
 地方交付税制度変更で交付税措置率が大幅に減らされている現状、将来の公債費実負担の増大につながることは必至であると考えます。
 決算年度の資金手当債の発行について、確実に償還財源が確保できると判断して発行しているのか、知事にお伺い致します。

(知事) 資金手当債の償還についてでありますが、本来、資金手当債の発行はできるだけ抑制していく必要がありますが、歳出構造が硬直化する中で多額の資金手当債を発行せざるを得ない構造になっているところです。
 資金手当債の償還を含めた公債費の実負担の増加に対応できるよう、先般策定した行財政改革行動計画を着実に実行し、聖域を設けず歳出歳入改革に取り組んでいくことで、確実に償還するとともに、資金手当債の発行に頼らない財政運営を目指してまいりたいと考えております。

(小山) 泉田元知事は、資金手当債の発行について、「防災・減災対策の公共事業を行うために不可欠で、資金手当債は公共事業にしか充当できず、資金手当債を減らすということは国から来る補助金も断るということである」とマスコミのインタビューで述べ、知事在任中の資金手当債の発行を正当化していますが、この発言内容は県民には理解できません。
 決算年度における資金手当債の発行を踏まえ、知事に見解をお伺い致します。

(知事) 資金手当債の発行についてでありますが、激甚化・頻発化する自然災害から県民の安全・安心を守るための防災・減災対策を推進していく必要があることは認識しておりますが、一方で、そのことが県の将来の公債費負担の増加につながることについても、考慮した上で対応していくことも重要であると考えております。
 このため、公債費負担適正化計画を今後策定し、資金手当債を含めた県債発行をコントロールしていきたいと考えております。
 
(小山) 平成30年度決算における健全化判断比率は、いずれも「早期健全化基準」及び「財政再生基準」に該当しなかったとしていますが、臨時財政対策債を除く標準財政規模に対する県債残高は全都道府県の中で最高水準にあり、実質公債費比率は、平成29年度の14.9%から決算年度では15.9%と更に悪化しており、このため公債費の実負担額は決算年度でも増加し、県は、今後10年間で約200億円の増加が見込まれるとしています。
 泉田元知事は、この公債費の実負担額について、マスコミインタビューで「借金の総額は減っている。今のままの国の制度で財政運営を続けると言うときに実負担は初めて増える」と述べていますが、このことについても、県民からは本当に財政危機なのかとの声が出され、財政危機の真意を測りかねている面がありますが、泉田元知事の発言について、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 公債費の実負担額の増加についてでありますが、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除いた県債残高や公債費は減少しておりますが、交付税措置の見直しによる影響や、交付税措置のない資金手当債を発行してきたことなどにより、公債費の実負担額は平成30年度と令和10年度を比較して約200億円増加することが見込まれています。
 公債費に対する交付税措置の内容は、県債を発行した時点で決まっているため、発行済み県債の交付税措置率を変えることは困難であることから、実負担の増加は避けられないものと考えております。
 このような厳しい財政状況の下でも、激甚化・頻発化する自然災害から県民の安全・安心を守るための防災・減災対策を推進していく必要があることなどを踏まえ、公債費に対する交付税措置の拡充を含む財政支援について、国に対して要望しているところです。

(小山) 県は、2017年2月の財政運営計画改訂時までは、高く設定した経済成長率を前提に税収の伸びを見込み続け、現在のような財政悪化するとの認識はなかったとしていますが、2008年のリーマンショック以来、日本はデフレ経済を脱却できず、安倍政権の経済政策・アベノミクスの恩恵も、地方にしたたり落ちる状況にはありませんでした。
 泉田知事時代の高く設定した3%前後の経済成長率見通しに対し、実際には1.5%前後の低い実態が続いており、花角知事が副知事に就任していた2013年の4月から2015年の7月の間も、高い経済成長率見通しと低い実績の乖離がずっと続いていた実態にあります。
 知事は副知事時代に、泉田県政の高く設定した経済成長率を前提とした財政運営は誤りであるとの認識はなかったのかお伺い致します。
 また、現実との乖離に対し異論や進言をする空気はなかったのか、併せてお伺い致します。

(知事) 過去の財政運営に関する認識についてでありますが、平成25年から2年間の副知事在任中に、収支見通しの経済成長率について誤りであるという認識や、県の財政運営が近い将来危機的状況に陥るという認識はありませんでした。

(小山) 泉田県政2期目にあたる2010年度において、後年度の県債償還の実質負担増を懸念して、県債管理基金の中に公債費調整分を設けてきたことは、当時から先行きの財政が悪化することの認識があったものと考えられます。
 また、マスコミのインタビューで米山前知事は、就任から約半年後に、財政当局から財政悪化について公表したい旨の話が出されたと述べたことが報じられているように、県の幹部や財政部局は、泉田元知事には進言できずにきたものを、知事の交代を機に財政悪化を公にした姿勢が伺えます。
 県の政策立案や行財政運営において、疑義や懸念があるときには、しっかりと上司に進言をするという機運の醸成、意識改革を図らなければ、先行き、同様の失敗を繰り返しかねないことになります。
 財政危機に至る一連の経緯や決算年度の実態を踏まえ、県庁のガバナンスや風通しの良い組織風土について、どのように検証し改革を図るのか、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 県庁のガバナンスや組織風土についてでありますが、現在の危機的な財政状況が見通せていなかった直接の原因は、庁内において、収支見通しのあり方について議論がなされる中、一貫して高い経済成長率等を前提に収支を見通していたことにあり、ガバナンスや組織風土というよりは政策判断によるものと考えております。
 いずれにしましても、今後、行財政改革の取組を着実に進めていくためには、職員が意欲とやりがいをもって、前例にとらわれず柔軟かつ新しい発想で、前向きな創意工夫に取り組むことが重要であり、そのためにも、忌憚なくものが言え、知恵を出し合える風通しの良い県庁組織をつくっていきたいと考えております。

(小山) 私は、県債残高が増加を続けていることから、平山県政と泉田県政において、再三にわたり、県債発行に一定の抑制ルールが必要ではないかと質してきた経過があります。
 平山知事は、平成11年度の予算編成に当たって、「最後の晩餐」と言った予算編成から一転して財政危機宣言を行い、毎年度県債発行を10%ずつ削減する抑制ルールを決めてきました。
 しかし、代わった泉田知事は「財政危機宣言を行う状況は全くない。交付税措置のある県債を利用しないと、将来の交付税を取り負ける構造になっている。世代間の負担の公平を図るためにも県債の発行を有効に活用すべき」との持論を展開してきました。
 また、サラリーマンは年収の5倍まで借金をして家を建てていることを引き合いに出し、本県は6兆円まで借金ができると豪語、私の指摘に対しては「国がお金をくれるというのに小山委員はいらないと言うんですか」と反論するなど、今日まで論戦がかみ合わないで来た経過があります。
 こうした、泉田元知事の県債発行に対する姿勢が、現在の財政危機を招いた一因があることは明白であることから、決算年度の実態を踏まえて、財政健全化に向けた県債残高の計画的な引き下げ、県債発行の抑制ルールが必要と考えます。
 花角知事になって、ようやく県債発行の抑制ルールの必要性を認め、行財政改革・行動計画において、ルールを設定すると記載していますが、具体的にどのような形でルールの設定を行うのか、改めて知事の見解をお伺い致します。

(知事) 県債発行ルールの具体的な内容についてでありますが、公債費負担適正化計画を既に策定した他団体では、実質公債費比率を18%未満とする期限を設けることや、毎年度の県債発行額に上限を設けることなどの目標を定めて取り組んでいるところです。
 そうした取組も参考にしながら、持続可能で安定的な財政運営に向けて、県債発行ルールを設定したいと考えております。

(小山) 私は、毎回の決算審査で取り上げている臨時財政対策債について、臨時財政対策債の原資となる赤字国債は、現在614兆円を超える多額の残高を抱え増え続けている実態にあることや、これまで何回か参加した学習会や研修会での、後年度100%交付税で措置されるという現在の前提条件が、いつまで続くのかが非常に疑問だという多くの専門家の指摘があること
などを踏まえ、後年度、確実に100%措置されるのか疑問であり、抑制が必要ではないのかと質してきました。
 県は、100%地方交付税で措置される臨時財政対策債を、発行しない手はないとの姿勢をとっており、決算年度でも約440億円を発行し、決算年度における発行残高は6,950億円程度にも上っていますが、国の借金を肩代わりさせられている臨時財政対策債について、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 臨時財政対策債も含めた県債残高の抑制についてでありますが、臨時財政対策債は、地方交付税の代替であり、地方財政法において、その元利償還金相当額を基準財政需要額に算入すると規定されており、制度上、国が地方の財政運営に支障が生ずることがないよう措置することになっております。
 こうした前提の下では、個別団体として地方交付税の代替である臨時財政対策債を発行しないということは難しいものと考えておりますが、一方で臨時財政対策債の残高が無制限に拡大することも望ましくなく、通常の県債残高とともに、国の対応を含めて今後の推移に留意していく必要があると考えております。

(小山) 地方交付税の算定基礎になる基準財政需要額は、土木費、教育費などの行政項目別に、地方自治体の人口、教職員数、児童生徒数、高齢者人口などを基礎に算出しますが、深刻化する人口減少が各行政項目の基準財政需要額の減少につながるのではないかとの懸念を指摘し質してきました。
 これに対しは県当局は、臨時財政対策債を発行する段階で率が決まっているので、元利償還金相当額の交付税措置が得られるとしていますが、少子高齢化の進展に伴う社会保障関係費などの、その前提条件がいつまでも続くかは不透明であり、将来的に確実に地方交付税に上乗せされるとは限らないことも、現実的な問題として考えることが必要と考えます。
 臨時財政対策債を返済するのは県であり、臨時財政対策債のような将来世代への負担先送りである、特例的な赤字地方債に依存する状況が続けば、地方自治体の財政運営を一層不安定にしかねず、臨時財政対策債は発行しなければならないものではなく、財源不足額を上限に「発行してもよい」というものであることから、努力して発行額を抑えている自治体も実際にあります。
 今日、県財政が危機的な状況に陥っている現状からして、県は財政健全化に向け、通常の県債に臨時財政対策債も含めた、県債残高全体の計画的な引き下げにも取り組む必要があることを指摘しますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 臨時財政対策債の元利償還金に対する地方交付税措置についてでありますが、先ほど申し上げたとおり、臨時財政対策債は、地方財政法において、その元利償還金相当額を基準財政需要額に算入すると規定されており、制度上、地方の財政運営に支障が生ずることがないようになっております。
  一方で、臨時財政対策債の元利償還金が年々増加していることから、その増加に見合う地方財政計画への上乗せが行われなければ、他の歳出項目が縮減され、結果的に地方交付税等による財源保障の範囲が小さくなることが考えられます。
 これは地方公共団体共通の問題であるため、国においては、この元利償還金の増加を地方財政計画に確実に反映するとともに、臨時財政対策債が本来、地方交付税で措置すべきものであることを踏まえ、早期に見直しを行うべきであると考えております。

(小山) 臨時財政対策債は、臨時という名前がつくように、3年間の臨時特例措置として、2001年から導入されましたが、国が先送りする形で延々と歯止めがかからず、今日まで恒常化してきているのが実態であります。 
 地方交付税の財源不足は、こうした臨時財政対策債による補てんではなく、国から地方への税源移譲や、地方交付税の法定率の引き上げを求めていく必要があります。
 これまでの臨時財政対策債に対する、後年度の元利償還の確実な履行と併せて、この臨時財政対策債を廃止して、本来の姿である地方交付税へ復元するよう、国に対して、地方が一体となって一層強固に要請していくべきと考えますが、決算年度を踏まえ知事の見解をお伺い致します。

(知事) 臨時財政対策債に関する国への要請についてでありますが、地方の財源不足額については、臨時財政対策債の発行ではなく、国において全額地方交付税で措置すべきものであり、今後とも全国知事会等を通じて、早期に見直しを行うよう求めてまいります。

2 超過労働問題について
(小山) 職員の時間外勤務について、毎回、取り上げてきていますが、決算年度における職員の時間外勤務は、これまで発生していた年間最高時間1,000時間超えが996時間となり、労働基準法の上限である年間360時間超えが588人、厚生労働省の過労死に係る認定基準である月100時間超えが67人、過労死ラインとされる月80時間を超えが108人と、いずれも前年度より縮減されており、その努力に一定の評価を致します。
 しかしながら、年間最高996時間を単純に割ると、1カ月に83時間、毎日4時間の時間外勤務をしていることになりますし、依然として過労死に係る認定基準を上回る時間外勤務がなされていることは問題であります。
 この先も、一層の恒常化している時間外勤務の是正、縮減に積極的に対応するため、適正な定員に向け職員の定数改善を行うなど、時間外勤務の縮減に真摯に取り組むトップの覚悟が必要と考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 時間外勤務の縮減に向けた取組等についてでありますが、業務の実態を踏まえた適正な定員管理に努めるとともに、特定の職員に過度な負担が集中することがないよう、仕事のやり方の抜本的な見直しや、管理・監督者による適正な業務管理など、昨年9月に策定した県庁働き方改革行動計画に掲げた目標の達成に向けて、時間外勤務の縮減に全力で取り組んでまいります。

3 グローバル教育について
(小山) 県教育委員会は、グローバル人材育成を図る目的で、海外研修旅行の実施校数を、異常とも思える80%の高い目標を設定し、希望者を募る中で、夏休み期間中でなく、学期中に2週間の長期間で行っています。
 事前に保護者に説明しているとしていますが、経済的理由などで参加できない生徒に対しては、選択教科を選ぶ別メニューを用意しているとのことであり、決算年度でも、多くの学校では何人かの生徒が参加していない状況にあります。
 私は、グローバル教育は否定しないが、参加できない生徒の気持ちを考えると「身の丈」の選別をしているようであり、いじめの原因にもなりかねず、こうした学期中に希望者を募って行うことは、本来のあるべき姿なのか疑問であり、見直す必要があると考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 海外研修旅行のあり方についてでありますが、中等教育学校等においては、国際的な視野を養うことを目的に、海外大学への訪問や現地高校生との交流授業などを行うため、多くの学校が授業日に実施していると聞いております。
 中等教育学校では、研修の意義や内容について入学前から生徒・保護者に周知していることから、大半の理解を得て、平成30年度には中等教育学校全体で、休学や長期入院の生徒を除くと99.5%が参加しております。
 一方で、参加できない生徒の学習も重要であり、教育委員会にはこれまで以上に、それぞれの生徒の状況に配慮した学習指導を期待しております。

4 人権問題について
(小山) 決算年度に行った県の県民アンケートでは、同和問題を知らないとする回答が44.8%と約半分を占め、新潟市の調査でも約8割が知らないと回答するなど、同和地区を抱える都道府県の中で新潟県は最低の認知度となっています。
 決算年度は、部落差別解消推進法が発効してから実質2年目の年でありますが、新法施行後も教育現場での差別事件の発生や、鳥取ループ示現舎の差別書き込みに象徴されるSNS上の差別事件は急激に拡大し、放置できない状態にあるなど、部落差別事件は後を絶たない状況にあります。
 決算年度における部落差別の実態を踏まえ、部落差別の撤廃に向けて、どう人権施策の推進強化を図っていくのか、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 人権施策の推進についてでありますが、県では、「新潟県人権教育・啓発推進基本指針」に基づき、部落差別の解消を始めとする人権施策を総合的に推進しているところです。
 現在、「部落差別の解消の推進に関する法律」の施行なども踏まえ、指針の見直しを行っているところであり、また、インターネット上の差別事件への対応についてもモニタリング事業を開始したところです。
 県といたしましては、県民一人ひとりがすべての人々に対して開かれた心でお互いの人権を認め、尊重しあう社会の実現を目指し、あらゆる差別や偏見がなくなるよう、法務局など関係機関との密接な連携のもとに、取組を一層推進してまいりたいと考えております。

(小山) 県内高校生の就職活動における県内外の公務員採用選考で、統一応募用紙以外の書類の提出を求められた事例が471件発生していることが明らかにされています。
 統一応募用紙以外の書類の提出は、部落差別につながる根本的な問題だけに、絶対に辞めさせなければならず、それに取り組む知事の決意をお伺い致します。

(小山) 統一応募用紙以外の書類の提出についてでありますが、委員ご指摘のとおり、高校生の就職採用選考において、統一応募用紙以外の書類の提出を求める事例があると聞いております。
 県といたしましては、部落差別を始めとするあらゆる差別や偏見がなくなるよう、公正な採用選考について取組を一層推進してまいりたいと考えております。

5 原発問題について
(小山) 原発事故時の2段階の避難計画について、いったん屋内退避する避難準備区域(UPZ)圏内で、逃げることが困難な人たちの要支援者施設が約600施設あるものの、放射線を遮断する防護対策ができている施設は、決算年度において、病院など僅か4施設の整備にとどまっている実態が、決算審査特別委員会の質疑で明らかになりました。
 また、UPZ圏内の一般住民の屋内退避は、通常の家屋等でも一定の遮蔽効果があるとした避難計画となっていることも、同様に明らかになりました。
 こうした屋内退避の遮蔽対策が全く追いついておらず、ある程度の被爆はやむなしの実態が露呈した避難計画について、知事はどのように受け止めるかお伺い致します。
 また、知事は、検証委員会の報告を受けた後、知事自らが再稼働の是非を判断し、県民に信を問うとしていますが、その前に、この問題についてどう対策を図っていく考えか、併せてお伺い致します。

(知事) 原子力災害時の避難計画についてでありますが、県としましては、県民の安全を最優先に、被ばくが健康に影響のないようにとどめられ、かつ、大きな混乱なく確実に実行できることについて相当程度の確証が持てるよう避難計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。
 また、UPZ圏内の放射線防護対策実施施設を増やすことは、要配慮者等の防護措置として望ましいと考え、国の放射線防護対策補助事業の対象となる福祉施設等に照会しておりますが、当事業はあくまでも希望する施設で実施するものであり、新たな希望がないのが現状です。
 このため、今後、放射線防護対策を実施する上での課題や個別の事情等をできる限り多くの施設等から直接お聞きするなどして、必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

(小山) 原発事故による被ばくの問題について、決算委員会質疑での防災局の答弁では、基本的には事故を起こした原発から、放射性物質が放出しない対策を立てることを前提にして、仮に放射性物質が放出しても、フィルタベント等で線量の軽減が図られることから、完全な遮蔽効果は必要ないとの答弁でありました。
 フィルタベントは、事故の際、格納容器の爆発を避けるために圧力を逃がす、すなわち放射性物質を大気へ放出するものであり、一定程度の放射性物質は除去されても、最悪の場合はそのまま放出することも十分に想定される中、県の姿勢が「完璧な遮蔽効果は必要ない」ということは、一定程度の被爆はやむを得ないという考え方であり、これでは県民は当然納得できず、怒りを覚えると思いますが、これでよいのか知事の見解をお伺い致します。

(知事) 原発事故による被ばくの問題についてでありますが、UPZ圏内の防護措置については、国の原子力災害対策指針に基づき、まずは、全面緊急事態となった段階で、屋内退避を実施し、さらに、放射性物質が放出された後、放射線量が基準以上に上昇した場合に、上昇した地域を対象に避難等を行うこととしております。
 国では、木造家屋においても屋内退避により、内部被ばくを4分の1程度に抑えることができるなど、一定の低減効果があるとしております。
 いずれにいたしましても、県としましては、県民の安全を最優先に、被ばくが健康に影響のないようにとどめられ、かつ、大きな混乱なく確実に実行できることについて相当程度の確証が持てるよう避難計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。

(小山) 活断層は、原発の重要施設直下にあれば再稼働はできないことになる重要な問題でありますが、原子力規制委員会は再稼働の前提となる安全審査では、活断層はないとする東電の主張を了承してきています。
 しかし、柏崎刈羽原発の敷地内には23本の断層が走っている問題は、これまでも再三指摘されており、専門家が柏崎市内で採取した活断層の定義に当てはまる「藤橋40」と、東電が活断層ではないと否定している「刈羽テフラ」は成分が同じという問題が決算年度で表面化してきた経過があります。
 また、決算年度において、東電が追加調査で活断層ではないと評価した「寺尾トレンチ」に対し、技術委員会で現地視察も行われています。
 県は、断層問題は一義的には国の審査との姿勢であり、工事認可申請等の段階で疑義がある場合は、その時点で原子力規制委員会等に問い質してくとしています。
 しかし、工事計画認可や保安規定認可の段階に入ってしまうと、根本的な調査は一層困難になり、これでは県民に対する安全・安心が置き去りにされてしまうことになります。
 県民の安全を守る立場からも、技術委員会において活断層問題の議論・調査を積極的に行うべきであり、それが本来の技術委員会が果たすべき役割ではないのか、ぜひそうすべきと考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 柏崎刈羽原発の断層問題についてでありますが、第一義的には、原子力発電所の安全規制に対し、一元的な権限と責任を有する原子力規制委員会が対応すべきことと考えております。
 平成30年度、技術委員会において、原子力規制庁に審査内容を確認した際には、柏崎刈羽原発6・7号機の直下に活断層はないと評価している旨の説明がありました。
 県といたしましては、引き続き技術委員会において、原子力規制委員会の審査内容に疑問が残る点について、確認していただきたいと考えております。

(小山) 三つの検証委員会の上部に位置付けられている検証総括委員会について、池内委員長は、福島第一原発事故は津波が到達する前に地震動で機器が損傷したかなどについて、政府、国会あるいは東電の調査報告は検証したとはとても言えないと指摘し、他の委員会でカバーできない問題や、東電の適格性問題なども検証総括委員会で扱う旨、発言したとの報道もあることから、活断層や液状化問題について、検証総括委員会も交えた中で議論、検証を行うべきと考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 検証総括委員会についてでありますが、各検証委員会において、事実に基づき科学的、合理的に検証した結果について、とりまとめていただくことが重要な役割であると考えております。
 断層や液状化の問題などを含む、柏崎刈羽原発の安全性については、原発事故に関する3つの検証とは独立して議論され、検証総括委員会に直接包含されるものではないと考えており、引き続き、技術委員会において確認していただきたいと思います。

6 入札問題について
(小山) 県の最低制限価格の91%は、全国で2番目に高いことがマスコミに取り上げられるなど、県はコスト縮減を目指す一方で、除雪や災害対応を担う建設業の経営支援との板挟みになり、難しい判断が迫られていますが、平成30年度の土木部所管の入札では、本県の平均落札率は95.4%と全国9位で、95%以上の落札率は67.2%を占めています。
 また、予定価格内の入札が落札者のみという、いわゆる1者アンダー入札が87件、同一業者が再入札においても1位になるという、いわゆる1位不動入札が41件となっており、受注調整が行われてはいないのかとの懸念が残ります。
 知事は、透明性、客観性、競争性の面で、こうした結果をどのように受け止めるかお伺い致します。

(知事) 入札結果に対する受け止めについてでありますが、入札の実施に当たっては、透明性、公正性、競争性の確保が大前提であり、県では、電子入札の完全実施や競争に足る指名数の確保、総合評価落札方式の実施等に取り組むとともに、第三者機関である入札監視委員会での入札結果の検証など、制度の適正な運用に努めております。
 こうした中で、委員ご指摘の落札率は、企業が工事の品質確保や自社の持続的経営体制づくりを考慮し応札した結果であり、また、1者アンダー入札及び1位不動入札についても、適正に入札が行われた中で結果として生じたものであると考えております。
 今後も、県民に信頼される入札制度となるよう、適切な運用に取り組んでまいります。

(小山) 県の最低制限価格91%の設定は、全国で2番目に高いとのマスコミ報道がされていますが、決算年度では土木部所管の全体入札件数2,226件に対し、県独自の計算式結果で91%未満となったものを、最低制限価格の91%に引き上げている件数は2,207件で、実に99.15%、ほぼ全てが最低制限価格91%に引き上げられている実態にあります。
 建設業が地域に貢献する重要な産業であることは、十分に理解し、私としても応援するところでありますが、この決算年度の実態を、知事はどのように受け止めるか見解をお伺い致します。

(知事) 最低制限価格の設定についてでありますが、現行の最低制限価格は、厳しい経営環境にある建設企業が除雪や災害対応など、地域の安全・安心確保の担い手として、適正な収益を確保し、中長期的に安定した経営を維持できるよう平成23年度に予定価格の91%に設定したものであり、工事の品質確保や建設産業の持続的経営体制づくりの面で効果があったものと認識しております。

(小山) 平成30年度のランク別の指名契約状況を見ますと、A級業者がB級だけでなく、C級、D級工事まで受注している実態が年々続いています。
 指名業者が足りない場合は、上級ランクの業者を指名業者に加えることができる、「いわゆる3割条項」があることは理解していますが、「3割条項」対象外の入札で、こうした実態が続けられているということは、結局、力のある業者が落札し、中小企業は締め出されて、下請けに回されてしまう形になっているのではないかと懸念します。
 地域の建設業者を支える観点や、中小建設業者を育成する観点から、実態の即したランク制度の見直しが必要と考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) ランク制度の見直しについてでありますが、県では、工事の金額毎に対象となる業者の等級を定める一方で、3割まで直近上位・下位の業者を指名可能としていることや、地域保全型工事において、業者の等級にとらわれないランクフリーで指名業者を選定していることなどから、委員ご指摘の状況が発生しているものと認識しております。
 県といたしましては、現行制度を前提として、地元中小企業者の受注機会の増大に資する地域保全型工事の運用を更に進めるとともに、小規模工事を地元に精通した地元業者へ発注するなど、引き続き地域の中小建設業者の受注機会確保に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

(小山) 平成19年度から導入された、地元の建設企業の受注機会の増による地域経済の活性化を図るため、あらかじめ地域貢献地元企業を認定して優先発注を行う地域保全型工事は、地元建設企業の経営安定につながり評価されていることから、現状の工事予定価格250万円から7,000万円未満の対象を、地元建設業の受注機会の拡大と経営支援も含め、決算年度の実態を踏まえ、対象枠の拡大を拡大すべきと考えますが、知事の見解をお伺い致します。

(知事) 地域保全型工事の対象金額の拡大についてでありますが、地域保全型工事の取組は、特殊な技術を要しない工事について、地元に密着し地域に貢献している建設業者の受注機会を確保し、経営の安定に貢献するものであると認識しております。
 しかしながら、新設・改良など高度な技術を必要とする7,000万円以上のA級工事については、技術力に優れたA級業者による施工が望ましいと考えており、現在のところ、対象上限額の拡大は考えておりません。
[普通会計決算・知事総括質疑]の続きを読む
2019/08/30(金)
越後が生んだ戦国名将・上杉謙信公の地、「新潟県立謙信公武道館」を視察しました。
97%が完成し、12月オープンに向けて作業が急ピッチで行われていました。
北信越で最大規模とのこと、私の地元に、このような大変素晴らしい武道館ができるのは喜ばしい限りでありますが、少しでも多くの県民が利用できるような運営が必要であると実感しました。
厚生視察1           厚生視察2
厚生視察3          厚生視察4


2019/08/29(木)
新潟リハビリテーション病院の、装置型ロボットスーツによるリハビリ訓練と、一般者も利用できる病院内フィットネス施設を視察しました。
厚生視察21厚生視察22厚生視察23

2019/08/29(木)
次の視察先への移動、バスの車窓に、インパクトのある看板と言うか、宣伝物に目を奪われた⁉️
蛇口
2019/08/29(木)
児童虐待が急増している現状、県の対応や施設が適切なのか、中央児童相談所の実態を視察しました。
厚生視察31              厚生視察32
2019/08/05(月)
上越市において新潟県消防大会が開催されました。炎天下、消防団の皆様、大変ご苦労様でした。
消防1          消防2
消防3          消防4
2019/03/18(月)
 2月18日に始まった県議会も、1カ月ほど経過して終盤になりました。
 常任委員会での質疑を経て、かわかなかった問題や、どうしても知事に質す必要があるときに認められている連合委員会に登壇し、花角知事と一問一答の論戦を展開しました。
 放射性汚泥処理をめぐった問題や、福島原発事故による本県独自の自主避難者支援の打ち切りなど、花角知事にとって都合の悪い質問なのか、それとも質問内容が理解できていないのか、納得できる答弁は期待できませんでした。
 以下は、質疑応答の要旨であります。(一門ごとに納得がいかない場合は再三の質疑を行っておりますが、省略)

1 放射性物質を含む汚泥の処理について
(小山) 知事は「当然、処理費用負担については、全額東電に求める」、また「東電が当然受け止めて頂けるものと思っている」と、議会やマスコミ取材に答えている。一方、東京電力は「原子力損害賠償法に基づき対応する」と述べるにとどめ、また、「県の事情を聞いた上で、適切に判断する」とも述べているが、全額請求に応じるかは明らかにしていないのが実態である。
 知事は、県が求める全額処理費用を、東京電力が確実に負担するという確信があり、新年度予算に約19億円の処理費用を計上しているのか伺う。

(知事) 汚泥処理に係る東京電力の費用負担についてですが、汚泥の処理については、法令に基づき県自ら処理を行うこととし、必要な費用を新年度当初予算案に計上したところであります。
 現在、放射性物質を含むことにより追加的に発生した費用として、県の保管に要する費用や県内水道事業者における汚泥の処理費用について、東京電力が負担していることから、今後の県の処理に要する費用についても同様に東京電力から負担いただけるものと考えております。

(小山) 原子力損害賠償法は、原子力発電や原発燃料の製造過程などで起きた事故の被害者を救済するために、原子力事業者に無限の賠償責任を課すために、1961年に制定されたものである。放射性物質を含む汚泥の処理費用について、東京電力が社会的責任において全額処理費用を負担すると明言すれば済むものを、「原子力損害賠償法に基づき対応する」と述べていることに対し、知事はどのように理解しているか伺う。

(知事) 東京電力の発言の趣旨は東京電力に確認いただきたいと思いますが、私は、原子力事故により損害が生じた場合の損害賠償については、原子力損害賠償法により定められており、東京電力は原子力事業者としての立場から法に沿って回答したものと考えています。
 県といたしましては、東京電力には、汚泥の処理に要した費用等を負担することにより、社会的責任を果たしていただきたいと考えています。 

(小山) 東京電力は、社会的責任において、処理費用の全額を負担すると述べれば済むものを、全額費用負担を明言していない。何故、明言しないのか。全額払う姿勢があるのか。知事はどう受け止めているか。
・・・・・・知事は同じ答弁の繰り返し・・・・・・

(小山) 横須賀市が「外務省からの情報提供内容」としてHPに公開している中には、米軍が米海軍横須賀基地に保管している、トモダチ作戦により生じた低レベル放射性廃棄物について、東京電力が契約した産廃処理業者による処理を行ったとの記載があり、これでいくと本県に保管されている放射性物質を含む汚泥も、東京電力が同様な方法で処理できるものと考える。
 東京電力は「廃棄物処理の資格がなく、法規制の課題がクリアできない」とし、花角知事は「この方法しかなかった」として県が処理することになったが、横須賀市の事例でいくと本当にこの方法しかなかったのか、それとも東京電力が廃棄物処理の資格がないのに泉田元知事が無茶を言っていたのか疑問が残るが、知事の見解を伺う。

(知事) 米海軍横須賀基地に保管されていた低レベル放射性廃棄物の処理についてですが、どのような経緯で行われたかは承知しておりません。
 なお、企業局が保管する放射性物質を含む汚泥の処理については、東京電力に対して、直接引取りを求めていましたが、昨年末に引取りはできないと回答があったことから、産業廃棄物として処理することとしたものであり、その限りでは廃棄物処理法に則り処理するしかないものと考えております。

(小山) 同じ福島原発事故が原因による放射性廃棄物のついて、横須賀市では東京電力が業者に処理を依頼している一方、新潟県では産廃処理資格がないとして、県が代行している。この違いは何か。
 私が質問を通告しているのであるから、少なくとも横須賀市の実態を調査し、本県との対応の違いについて私に答える責任がありながら、全くそうした姿勢が見られずおざなり的な答弁に終始しているのは大きな、問題である。再度、答弁を求める。
・・・・・・知事は同じ答弁の繰り返し・・・・・・

(小山) 放射性物質を含む汚泥について、企業局が一般競争入札により委託先を決定するとしており、処理先はセメント工場での再利用、または、管理型処分場での埋立て処分を想定しているとのことであるが、県内セメント工場への再利用は地域住民の心配が強く出されており、県内の管理型処分場は通常の産廃処理を見込んだ計画となっており、放射性物質を含む汚泥を受け入れる環境にないと考える。
 一般競争入札にあたっては、処理先などを入札条件に加え、本県内での放射性物質の拡散を防ぐべきと考えるが、知事はどのように考えるのか伺う。

(知事) 放射性物質を含む汚泥の処分先についてですが、平成31年度に企業局が処理委託する汚泥は、全て放射性物質の濃度が100ベクレル以下のものであり、これは、法令により再利用しても放射線による障害の防止の措置の必要のないものとされているものです。
 このため、処理先を制限することなく、法令に則り適切に汚泥を処理してまいりたいと考えております。

(小山) 環境省は、福島県内で生じた膨大な除染土の量を減らすため、放射性セシウムが8000ベクレル以下の除染土を、全国の公共事業や農地造成などで再利用を行う方針を打ち出している。しかし、東京電力は、柏崎刈羽原発においては100ベクレル以下でも原発内で汚染されたゴミはすべて低レベル放射性廃棄物として厳格に管理することになっていることは、それだけ危険だということである。
 環境中への放射性物質の拡散を容認するような除染土の再利用は住民や将来世代にリスクを押し付けることになる。本来は、放射能の管理技術を持つ東電が集中管理することが原則ではないのか、知事の見解を伺う。

(知事) 福島県内で生じた除染土の再利用についてですが、現在、安全性を確保することを大前提として、適切な管理の下での利用を実現するため、国において再生利用技術の開発等の検討が進められているものと承知しています。

2 福島原発事故の賠償・避難者支援等について
(小山) 県は東電福島第一原発事故による福島県からの自主避難者に対して行っている民間賃貸住宅の家賃補助について、福島県の家賃補助が本年度で終了することから、県単独の上乗せ支給を、3月末で終了する方針を打ち出している。
 この県単独支援については、泉田・米山歴代知事が私の質問に対し「福島県の支給制度に合わせているものの、その後の打ち切りを前提にしたものではない」と答弁してきていることから、政策の一貫性、整合性がとれないのではないかと質してきた。
 福島県の復興状況、避難者状況、福島県の支援策の動向を踏まえ総合的に勘案した結果であり、政策の一貫性、整合性に問題はないとのことである。
 花角県政において、避難者に冷たいとの評価がされないよう、福島県の支援終了に即合わせることでなく、県の単独支援を継続し、その後段階的な経過措置を取るなどして、県内居住を図る意味でも避難者に寄り添った対応をすべきでないのか、知事に伺う。

(知事) 自主避難者への家賃補助についてですが、本県の家賃補助は、福島県の補助制度の上乗せとして行ってきたものであり、このたび、福島県の復興状況、避難されている方々の状況、福島県の支援策の動向などを総合的に勘案した上で、福島県の制度終了に合わせて、本県も終了することとしたものです。
 また、本県と同様の制度を有する北海道、神奈川県、沖縄県の3道県も今年度末で終了することとしております。
 今後の支援については、避難者が集まり交流できる広域交流会の開催や、福島県に住む父母が本県に避難している子どもに会いに来るための高速バス料金の補助を継続するとともに、様々なご相談に応じるなど、避難者に寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。

(小山) 昨年の臨時国会で原子力損害賠償法が改正されたが、電力会社が支払う賠償に上限を設けて国の責任を明確にすることや、電力会社に準備させる額の引き上げが見送られるなど抜本改正にはほど遠かったと考えるが、知事はどのように評価しているのか伺う。
また、仮に柏崎刈羽原発が原子力災害を起こした場合、現行の賠償制度で、被災者の生活再建支援に十分に足り得るものであると考えるか、併せて知事に伺う。

(知事) 原子力損害賠償法の改正についてですが、このたびの改正では、原子力事業者に対する損害賠償実施方針作成の義務付けなどが盛り込まれましたが、県といたしましては、国策として原子力事業を進めてきた経緯や、甚大な被害の実態を踏まえ、最終的に国が責任を持つ仕組みが必要であると考えております。
 引き続き、全国知事会等において、国の責任を明確化し、原子力発電所事故に起因する損害を範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償が確実・迅速に行われるよう、国に働きかけてまいります。

3 児童虐待・児童相談所について
(小山) 先日、独自で上越児童相談所を視察調査したが、職員が一丸となって児童養護のため懸命に努力されているものの、施設の入所率が高く一時保護日数が長期化する傾向にある中、行動に問題がある児童の増加や男女別の問題などから、深刻な個室不足という実態にあった。また、一時保護は一階で行われており、子を取り戻しに来る親などの対応も考えるとセキュリティの問題が喫緊の課題であることを実感した。
 新潟県の最上位計画である「新潟県総合計画」には、児童相談所の職員配置の充実と専門性の確保・向上による体制強化の必要性や、より家庭的な環境での社会的養護を行うことの必要性が明記されていることから、老朽化した児童相談所や、一時保護機能のキャパシティーの限界など、ハード面の早急な改善を求めるが知事の見解を伺う。

(知事) 児童相談所のハード面の改善についてですが、上越児童相談所一時保護所は、およそ40年前に、当時の基準に基づいて設計、建設された施設であり、近年の相談件数の増加や相談内容の変化により、委員ご指摘のような問題が生じていることは承知しております。
 特別な援助が必要な子どもへの支援を充実するために、一時保護所を含めた児童相談所の環境改善は大変重要であると考えており、県といたしましては、国の児童福祉司等の大幅な増員の方針への対応などとあわせて、児童相談所全体の体制強化について検討していく必要があると考えております。

(小山) 児童相談所はより家庭的な環境で保護を行う必要性がある中、虐待を受け満足な食事が与えられていない児童が、やっとの思いできた児童相談所で、調理員不足のため宅配の冷たい弁当が提供されている実態は大きな問題である。
 上越児童相談所では何とか人材確保ができ改善されたようであるが、新潟市江南区の中央児童相談所では、必要な調理員が確保できないために、食事提供に支障をきたしている実態にあると聞いている。
 対策として若草寮、はまぐみ小児療育センターなどの県施設で働く調理師を、中央児童相談所で勤務できないのか調整をしてきたものの、職員定数などの壁により実現できないとも聞いているが、県の制度や方針が壁になって、子どもに不利益を与えるというようなことはあってはならないと考える。
 必要な現業部門への人材補充や雇用条件の改善、県の他施設で働く調理師を中央児童相談所に配置できるよう、制度の柔軟な運用ができるようにすべきと考えるが、知事の見解を伺う。

(知事) 児童相談所の一時保護所における食事の提供体制についてですが、委員ご指摘のとおり、保護された子どもたちに温かい家庭的な食事を提供することは、一時保護所として大切な機能と考えております。
 これまでも嘱託員を採用し対応してきておりますが、人手不足のおり、一時的に一部の嘱託員を確保できない状況が生じているところです。
 このため、今後は調理業務を専門の業者に委託することも含め、より安定した食事の提供体制を整えてまいりたいと考えております。

4 消費税と県立病院経営について
(小山) 10月からの消費税10%の引き上げ予定について、県立病院においても医療行為の大半を占める保険診療は消費税が非課税となり、一方、病院での医療機器の購入や、診療材料、レセコンの更新など、これら全てに消費税がかかるため、10月から消費税10%への引き上げが行われた場合、結果として県立病院全体で約28億円の損税が試算されるとのことである。
 一方、消費税増税分を補てんする診療報酬の改定は、平成26年に消費税5%から8%へ引き上げられた際には7割弱の補てんにとどまり、これを当てはめると1年間で約2.5億円の補てん不足になるとのことであるが、知事は消費税増税に伴う県立病院経営における損税をどのように受け止めているか伺う。

(知事) 消費税増税に伴う県立病院の経営に対する受け止めについてですが、医療機関における控除対象外消費税の問題については、適切に補てんされることが重要であると考えております。
 これまでも、全国知事会などを通じて、診療報酬によって措置されている額を超えて医療機関が負担している仕入額相当額について、これを控除し、もって還元ができる税制上の措置を講じるよう要望してきているところであります。
 昨年の厚生労働省の発表で、前回8%への引き上げ時の診療報酬による補てん状況について、医療機関種別及び開設主体別で大きなばらつきがあり、特に公立病院に対しては7割弱しか補てんされていなかったことは大変遺憾であると考えており、改めて要望を行ったところです。

(小山) 平成30年度の病院事業会計決算見込みは、純損失が約20億円と前年度から約12億円の悪化、累積欠損金は約318億円となり、資金不足比率が発生する可能性が高いということである。こうした厳しい赤字経営が続く県立病院にとって、これ以上、損税という負担が増えれば医療崩壊につながりかねない。
 かつて兵庫県内の4つの病院が、医療機関が一方的に消費税を負担しなければならないのは違憲だとして、国を相手に損害賠償裁判を起こすまでに至った事例もあることから、知事として甚大な影響を与える消費税の引き上げ凍結を、あらゆる機会を通じて求めていくべきでないのか見解を伺う。

(知事) 先ほどお答えしたとおり、昨年の厚生労働省の発表を受けて、医療機関に対する消費税制度の改善について、改めて全国知事会などを通じて国に強く要望したところであります。
 そうしたことを受け、国では、今回10%への引き上げに係る診療報酬の補てんについて、前回の改定に比して、より詳細な情報を用いること等によって配点方法を精緻化し、負担に見合う補てん点数となるよう見直しを行ったとしています。
 医療機関の消費税負担については、適切に補てんされることが重要と考えており、今回の診療報酬改定による実際の補てん状況について、十分な検証が必要であると認識しております。
 今後、それらの状況を注視するとともに、今回の補てん状況によっては、さらなる改善を求めていきたいと考えております。

5 新潟水俣病について
(小山) 新潟水俣病被害者について知事は、県内で発生した公害病であることから非常に高い関心を持っているとのことであり、被害者から是非とも現地に足を運んでいただきたいとの要望に対し、できるだけ早い時期に現地に入って被害者の生の声に耳を傾けたいと議会答弁してきているものの、いまだに実現していないが、いつごろ現地に入る予定なのか伺う。
(知事) 新潟水俣病被害者との面会についてですが、私としても、水俣病問題に取り組んでいくためには、被害者の方々から直接お話をお聞きしたいと思っております。
 そのため、現在、スケジュールを調整中であり、遅くとも来月中には、被害者の方々とお会いする機会を設けたいと考えております。

(小山) 県は、多くの被害者が救済されずにいることを踏まえ、ここ数年、毎年、政府・環境省に対し、「被害者の早期救済や患者救済の枠組みの見直し、潜在患者が名乗りを上げやすい環境の整備等」を要望してきたものの一向に改善の兆しが見えない。
 政府・環境省に対し、もっと強い働きかけも必要ではないのか、知事に伺う。

(小山) 新潟水俣病に関する国への要望についてですが、県としましては、水俣病の終局的な解決のためには、救済制度の抜本的な見直しが必要であると考え、「患者救済の枠組みの見直し」等について、毎年、国に対し、要望を行ってきております。
 今後も、あらゆる機会をとらえ、すべての水俣病被害者の救済に向けて、粘り強く国に要望してまいりたいと考えております。
2018/12/21(金)
 12月17日、本会議、常任委員会でかわかなかった問題、どうしても知事に再度問いたい問題について議論ができる、第二次連合委員会に登壇し、再度、知事と論戦しました。
連合写真1

1 放射性汚泥の処理について
(小山) 福島第一原発事故を受け、2012年1月1日に全面施行された「放射性物質汚染対処特措法」で、1kg当たり8,000ベクレル以下の廃棄物の処理については廃棄物処理法の規定が適用されることとなった。
 福島第一原発事故前までは、「原子炉等規制法」で100ベクレル以上は低レベル放射性廃棄物としての厳重な管理義務があったものが、原発事故後は80倍までを通常の廃棄物と同様に緩和され、一方、原発敷地内では事故後も100ベクレル以上はすべて低レベル放射性廃棄物として厳重管理されている。
 こうした大幅な緩和で二重基準が存在することに対し、果たして県民の安全が守られると考えるか、知事の見解を伺う。

(知事) 100ベクレルについては、再利用しても放射線による障害の防止の措置が必要のない、いわゆるクリアランスレベルとして定められており、一方、8,000ベクレルについては、外部に放射性物質が拡散しないようにしたうえで安全に処理できる濃度基準として定められている。
 この二つの基準は、同じ放射性物質に関する基準であっても、再利用と埋立処分という異なる取り扱いに関する基準であると認識しており、いずれの基準についても、国において、科学的な根拠に基づき定められたものと承知している。
花角知事

(小山) 工業用水道事業で発生した放射性汚泥について、県は東京電力に引き取りを求め、東京電力が引き取る方針できたものの、約8年間県が保管を続けてきているものの保管量に限界があることから、東京電力に引き取りについて年内に回答を求める一方で、県の責任として、廃棄物処理法等に則り、処理することも選択肢の一つであるとの答弁があった。
 東京電力は廃棄物処理の資格がなく、6万トン弱を有価物として引き取るとする回答は難しく、選択肢の一つとされている県が廃棄物処理法等に則り処理することが濃厚となる。
 これまで、事故を起こした東京電力に社会的責任を果たすことを求めてきたことからすれば、県の方針転換と受け止めてよいか、知事に伺う。


(知事) 現在は、東京電力に対し年内に回答するよう要請し、回答を待っている段階である。
 これまでどおり、東京電力に汚泥の引取りを求めており、現時点で方針転換したわけではない。 一方で、他の自治体と同様に県が処理することも選択肢である。

(小山) 県は2016年4月18日付けで、放射性物質汚染対処特措法施行規則の一部を改正する省令案に対するパブリックコメントに対し、(1)原発事故以前から8,000ベクレル以下であっても厳格管理してきたことから、基準を原発構内と同等のものにすること、(2)放射性廃棄物の市町村・排出事業者に対する技術・財政的支援や処分先の確保など、国の責任の明示2点について意見を提出していることからすると、県が保管する汚泥を処理することはこれまでの県の姿勢との整合性が取れないのではないかと考えるが、知事に伺う。

(知事) 8,000ベクレルは、外部に放射性物質が拡散しないようにしたうえで安全に処理できる濃度基準として定められたものであり、今後は、現行の法令に従って処理すべきと考えている。
 一方、企業局の汚泥については、事故を起こした東京電力に社会的責任を果たしてもらうという観点から、引取りを求めているものである。現在、東京電力に対し年内に回答するよう要請し、回答を待っている段階である。

(小山) これまでの質疑の中では、100ベクレルを超える放射性汚泥の保管量は2つの工業用水道の合計で4,053トン、100ベクレル以下については同合計で5万5,482トンとのことであった。100ベクレル以下についても法的な義務の前に原発事故を起こした社会的責任として、全量を保管する経費に対して東京電力から毎年度損害賠償金として支払われていたと理解してよいか伺う。

(企業局長) 放射性汚泥を保管する経費については、東京電力に毎年度損害賠償請求してきており、これまでの間、約15億7,000万円の支払いを受けたところである。

(小山) 知事は、選択肢の一つとして、県が保管管理している放射性汚泥について、県が産廃処理業者に処分を依頼し、費用を東電が負担する形で決着を図る方針を打ち出しているが、100ベクレル以上を管理型処分場への処分、100ベクレル以下は有価物として処理する方向なのか、それとも、県が「廃棄物処理法」に則り、全量を廃棄物として産廃処理業者に処分を依頼するという形なのか、知事に伺う。

(知事) 現在は、東京電力に対し年内に回答するよう要請し、回答を待っている状況である。
 法令に基づき処理することは、あくまでも選択肢として示したものであり、方針を決定したものではない。仮に県が処分をするとした場合には、周辺住民の不安の払しょくや県有地の有効活用のため、早期に処分に着手する必要があることから、産業廃棄物として処分を依頼することになると考える。

(小山) これまでの全量の保管経費を東京電力から支払われていた経過を踏まえ、100ベクレル以下も含めて、全量の処分経費について東京電力に負担を求めるということで理解してよいか、知事の見解を伺う。

(知事) 現在は、東京電力に対し年内に回答するよう要請し、回答を待っている状況である。
  法令に基づき処理することは、あくまでも選択肢として示したものであり、方針を決定したものではない。仮に産業廃棄物として処分を実施する場合には、その全量の処分経費について、東京電力に対し請求することになる。

2 原発問題について
(小山) 検証総括委員会の池内委員長が、3つの検証の検証結果を知事の任期中に間に合わせるとの方針に対して、知事は期間・期限を設けずに、また知事の任期にこだわることなく、徹底した議論を尽くすという一貫した姿勢であることを、正式に池内委員長に要請すべきでないかと、私は代表質問、委員会質疑の中で質してきた。
 12月13日付けの新潟日報の「花角県政の針路・下」の記事に、知事は東京都内で内密に面会し、期限を切らずにしっかり検証するよう話したという記事が掲載されている。
 これが私の代表質問の再々質問での知事の答弁「お会いした際に私の考えはお伝えしている」に該当するものと推察するが、見解を伺うとともに、知事の要請に対して池内委員長はどう応えているのか、併せて伺う。


(知事) 池内委員長に直接お会いして私の考えをお伝えしたのは報道にあるとおり。
 池内委員長は、その場で、私の任期について気にされていたが、私としては期限を切らずに議論を尽くしてもらいたいとお願いした。いずれにせよ、検証期間は、委員会の議論の中で定まっていくものと考えている。

3 中条第二病院について
(小山) 中条第二病院について、厚生連が2019年3月末閉鎖を発表して以来、この方針を再考する旨の方向は示されず、すでに入院患者の転院を求めているなど、実際には閉鎖に向けた既成事実化が進んでいる実態にある。
 一方、県は、中条第二病院の存続に向け、最大限の努力を続けるよう要請しており、厚生連側に長期の収支計画見通しや、厚生連内での改善策などを具体的な数値での回答を求め、その結果を踏まえて検討するとしているものの、双方のギャップが埋められていないのが実態である。
 県として、十日町市、津南町と一緒に、不採算地域の医療を担って補助金や税制上の優遇措置を受けている厚生連が、民間であるとしても、経営判断の名の下に病棟を閉鎖することは絶対に容認できないという、県の基本的な姿勢を明確にすべきでないのか、知事に伺う。


(知事) 中条第二病院について、厚生連には、過去の収支の状況、厚生連全体も含めた今後の収支見通し等、これからの経営展望を数値で表すよう、期限を示して要請をしている。
 県としては、これまで地域の精神科医療を支えてきた中条第二病院が、本当に病床維持が不可能であるのか、置かれている状況を客観的に把握するとともに、経営主体である厚生連から、病院のこれからのあり方をどうするのか、まず、お聞きした上で、県として可能な支援を検討してまいりたい。

(小山) 十日町・津南地域における精神保健医療体制、地域連携拠点機能の維持に向け、また、現在いるすべての入院患者に十分な医療が手当てされるように、県があらゆる手段を尽くして中条第二病院を継続させるよう、厚生連に働きかけるとする、知事の決意を改めて伺う。

(知事) 県としては、厚生連から、病院のこれからのあり方をどうするのか、まず、お聞きした上で、地域の精神科医療を確保するため、可能な支援を検討してまいりたい。

4 ビッグデータについて
(小山) 米山前知事から引き継がれて花角知事が行うビッグデータ政策は、名称を米山県政時の「県民健康ビッグデータプロジェクト」から、「にいがた新世代ヘルスケア情報基盤プロジェクト」に変えたものの、基本的には焼き直したものでほぼ同じものと考えるが、その見解を本会議の代表質問、委員会質疑で質しても、県民の健康増進、健康寿命の延伸などの目標は同じだが、知事からは推進委員会において構想の策定を進めているところとの答弁であり、福祉保健部長からは演繹法と帰納法の違い、目標に向けたプロセスを揉んでいる段階だなどと、実に回りくどい答弁に終始し、明確な答弁を得られなかった。
 私は二つのビッグデータ政策に、基本的な違いがあるのか、ないのか、そのことを質しているのであり、改めて明確な答弁を知事に求める。


(知事) 昨年度はそもそも「何のために、どう使うのか」といった目的や趣旨、全体像を明確に示していなかったと理解している。
 そのため、昨年度明確に示せなかったことについて、今年度、検討するための予算が認められていると承知している。現在、全体像を示せるように、推進委員会で構想の策定を進めているところ。したがって、前知事の政策と比べることがそもそもできないと考えている。

(小山) 米山前知事のビッグデータ政策について、あえて県がビッグデータを構築する意味があるのか、かなりの予算をかけてつくる意味があるのか、費用対効果はどうなのか、目的達成のためにはビッグデータしか方法はないのか、国がやろうとしているのに県が無駄な投資をしてやる必要がないではないかなど、厳しい批判の声が集中して出されてきた経過があるが、花角知事のビッグデータ政策は、こうした批判に当たらないのか、改めて伺う。

(知事) 前知事の政策は、県民の健康増進など、様々な可能性を秘めたプロジェクトであるという前提で進めていたものであり、目的や趣旨、全体像を明確に示せないことに対して、これまで、議会からご指摘があったものと考えている。
 そのため、そのようなご指摘を十分に踏まえて、今年度、構想の策定や具体的な事業構築を進めているところ。



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